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資料1 第1部のskypeログ

 

このページでは、第1部「作品紹介」の実際の模様(skypeグループチャットのログ)を掲載します。まとめページ(第1部)では載せることができなかった、各紹介者の主張の全貌を、ぜひご覧ください。

また紹介者のレジュメのページもご覧いただくと、紹介者の作品に対する“熱さ”が伝わると思います。こちらもあわせてどうぞ。

 

それでは、以下、ログをどうぞ(なおプミシール、タキートンの2名は、ログではそれぞれプミ、タキ、と表記しています)。

なお、(※ )内のテキストは、後から私(プミシール)が加えた注釈です

  

 

1.「穴」について 紹介者:プミシール(19002030

プミ:こんばんはー

タキ:こんばんはー。緊張していますw

イコ:こんばんはー

プミ:スカイプでははじめましてですね>タキートンさん

プミ:よろしくおねがいします。そんな緊張しないでいいですよ

プミ:イコさんもこんばんはー

タキ:よろしくお願いします

プミ:さてさて、では始めましょうか。

タキ:はい

プミ:今回は他メディアの作品を紹介するということで、ちょっといつもと違

   う感じになるかもしれませんが、楽しく、熱く、ホストやりたいと思い

   ます!

イコ:よろしくお願いします

タキ:よろしくお願いします!

プミ:じゃあ、僕が最初にやりますww

プミ:今回は私、レジュメを作っていません。整理してお話したいと思うので

   ついてきてね!ではいきます。

イコ:はい!

タキ:はい!

プミ:僕が紹介するのは映画です。フランスのジャック・ベッケルという監督

   の遺作で「穴」という映画です。ご覧になられた方、いらっしゃいます

   か?

イコ:「穴」!

イコ:たぶんある

タキ:私は見てないです…

プミ:まじで!? あちゃーwww

タキ:wwwwww

プミ:脱獄の映画だよ。

タキ:なるほど。

イコ:あ、今確認しました。別の穴でした

タキ:え?w

イコ:「穴」って映画、いくつもあるんですよねww

プミ:穴違いww

タキ:wwwwww

プミ:よかった!では、改めて

プミ:この映画はひとことで言うと「脱獄」を描いた映画です。原作小説があ

   ります。作者はジョゼ・ジョヴァンニという人で、実際に脱獄の経験が

   あり、それをもとに小説を書いたのだそうです(映画のオープニングに

   本人が少しだけ登場します)。彼は脚本など監督とともに映画の詳細に

   深く関わっています。

イコ:脱獄、というと「大脱走」や「プリズンブレイク」のようなものを想

   像しますけど、単なる脱獄じゃないんでしょうねぇ。

プミ:そうそう。

タキ:脱獄経験とか凄いな…

プミ:簡単に内容を説明すると5人の囚人が、刑務所から穴掘って脱獄すると

   いうものです。

プミ:また囚人を出してしまいすいません>イコさん(※1/15の第1回作品紹

   介で囚人が出てくる作品が大半を占めたことを受けて)

イコ:wwww

プミ:先ほど「大脱走」などをイコさんが挙げてくれましたが、タキートンさ

   んは脱獄を扱った映画って結構あると思うんだけど何か思いつくものあ

   りますか?

タキ:うーん、世界まるみえで、大脱走スペシャルみたいなのを見た記憶しか

   ないですw すみませんw 映画はあまり見ないのですw

プミ:おっけーですww

プミ:僕が思いつくのなら「大脱走」はもちろん、あと「ショーシャンクの空

   に」とか

イコ:うんうん

プミ:「パピヨン」もそうかな

プミ:あと「アルカトラズからの脱出」とか

プミ:ハリウッド大作でいうと「ザ・ロック」(ニコラス・ケイジ、ショー

   ン・コネリーのやつね)とかにも脱獄シーンがあったような気もしま

   す。あんまおぼえてないけど。

プミ:で、それらの脱獄映画と穴はちょっとやっぱりちがっているんですね。

プミ:それが僕が素晴らしいと思うところなのだけど

プミ:僕が「穴」で、素晴らしいと思うのは、“途切れることのない圧倒的な

   緊張感”の持続、そして、それを可能にした演出についてです。

   僕は何回観ても、約2時間ずっと緊張しっぱなしで、時間がたつのが異

   常に早いですw

タキ:なるほど。演出ですか。興味深いです。

プミ:また、この演出は、映画の主役は登場人物ではなく、“脱獄という行為

   そのもの”であるということを主張しているように僕には思えます。

プミ:僕は、映画を観るときは、いちばん気にするのは演出なんです。

   映画のみかたって、いろいろある。いろんな芸術の形態が複合されたよ

   うなところのあるものだからね。音楽だけがいい映画、とかもあるもの

   ね。

プミ:で、「穴」ですが、演出=方法=形式が、(映画の)内容を的確に示し

   ているように思います。僕はそこに優れた文学性を感じています。それ

   は小説でも大事なことだと思うので…。

イコ:ふむふむ

プミ:ではストーリーを簡単に説明しながら、その演出と効果を紹介していき

   たいと思います。

プミ:まず映画は、ひとりの青年と刑務所所長との会話で始まります。

プミ:この青年、ガスパールはもといた房が改装することになったため、別の

   房に移る手続きをとっている囚人(未決囚)なのです。

   未決囚ってのは、裁判を待っている、拘留されている容疑者のことね。

プミ:会話のやりとりから、所長はガスパールを好青年だと思います。たしか

   に気の優しそうな青年なのです。

プミ:と、ここで演出その①「モノクロ撮影であること」。

プミ:この映画は1960年のものなので、カラーで撮影するという選択肢もあっ

   たはずですが、この映画は全編モノクロで撮影されています。映画の舞

   台となる刑務所や、その地下などの陰鬱な雰囲気は、白黒のシンプルか

   つ、陰影のはっきりしたシャープな映像によってこそ、出せるものだ

   と思います。

タキ:勉強になります。凄い面白いです。

プミ:さんくす!>タキートンさん

タキ:いえいえw

プミ:また、この映画には登場人物の顔のアップが結構出てくるのですが、脱

   獄作業中の人物の焦燥感、疲労感、緊張感などが、より立ち上がってき

   ます。しかし一方で、モノクロ映像はカラー映像に比べ、人物を無機

   質・非生物的にみせる効果があると言えると思います。

イコ:少し距離をとっている感はありますね

タキ:映画素人の僕には新鮮すぎるお話だ…

プミ:余談ですが、塚本晋也って監督の「鉄男」って観たことありますか?お

   ふたり?

タキ:ないです…。

イコ:ないですねー

プミ:田口トモロヲの出世作で、男がだんだん鉄と融合していく、みたいな作

   品なんですけど、それもモノクロで撮影されている。もし、あれがカラ

   ーだったら、ものすごい感じが変わったと思います。

   無機質なものと生き物の融合、「穴」がモノクロで撮られたのと関係あ

   るかなとちょっと思って言ってみました。

イコ:モノクロで撮影されているものとして思いつくのは、「泥の河」ですね

プミ:宮本輝のやつ。観たことない。

イコ:その時代の雰囲気や、手触りを想起させるのに、とても有効な方法だと

   感じます。

   あえて色を縛る、ということ

プミ:時代の雰囲気をあらわすのには確かにすごく有効ですね。

プミ:「穴」では、人を無機質、非生物的にみせることによって人物たちの顔

   (の疲労感など)は、人間そのものというよりも、脱獄の過程を示す、

   指標のように僕には感じられました。

プミ:ストーリーをすすめます。

プミ:ガスパールが移ってきた房には4人の囚人がいます。がっしりした体格

   でリーダー然とした「ロラン」、いつも表情が険しくそっけない感じの

   する「マニュ」、おちゃらけたところのある“大僧正”こと「ボスラ

   ン」、ガタイはいいが態度はだらしなく、女(についての冗談)が好

   きな「ジョー」の四人です。

プミ:最初はガスパールを警戒していた4人ですが、彼の好青年的な態度もあ

   って、それなりに打ち解けます。そして脱獄の計画を打ち明け、仲間に

   誘うのです。

プミ:ここで演出その②「登場人物の背景描写(人間ドラマ)をほぼ排除して

   いること」。

プミ:上記の囚人4人について、上記のような見た目や簡単な性格以外の情報

  (例えばどんな犯罪で捕まったかなど)は、ほとんど出てきません。

プミ:普通は、映画内の登場人物(特に主役クラス)の情報は、ふんだんに示

   されます。

   それにより人物、ひいてはその物語の厚みが増すと言うことができると

   思います(そうでなければ書き割りのような人物などと評されたりしま

   す)。しかし本作では、そういう効果をまるで不要であるかのように切

   り捨てている。

タキ:記号的ってことですね。

プミ:そうですね。あえてやっていると思うんですよ。

プミ:僕がどう考えたかというと

プミ:脱獄はいわば完全犯罪です。これを成し遂げるには相当な精神力がい

   る。人物たちには一瞬も気の抜けない緊迫した時間が流れているはずで

   す。その過程を表現する際、人間の背景を詳細に描写することは、むし

   ろ邪魔になる(人間ドラマは弛緩である→緊張感を失わせる)と考えた

   のではないか…と。

タキ:これは面白いですw

タキ:なるほど、です。

プミ:サンクスアゲイン!

プミ:ところで、ガスパールについては、4人に比べればもう少し背景が示さ

   れます。

プミ:何をして捕まったかや、家庭の事情、何の仕事をしているかなど、まあ

   新入りですから、いろいろ他の四人に聞かれるわけです。ですが、これ

   は彼が映画の後半、ストーリーを大きく動かす役を担っているからだと

   思います。この背景の役割はそれ以上のものではないと僕は思います。

プミ:また彼は(本来脱獄計画に入っていなかった)異分子として房に入って

   くる存在なので、4人との対比の意味もあるのではないかと思います。

プミ:ここまでいいでしょうか?何か質問あれば…

イコ:おれは大丈夫です

タキ:あります。

プミ:はいどうぞ>タキートンさん

タキ:さきほど申し上げていた脱獄の過程を示す、ということについて、詳

   しくお聞きしたいです。

タキ:“プミ:<<< 人物たちの顔(の疲労感など)は、人間そのものというよ

   りも、脱獄の過程を示す、指標のように僕には感じられました。”

   ここですね。

プミ:なるほど。

プミ:先ほども言ったように、人物たちの顔のアップが、映画の中に結構頻繁

   に出てきます。

タキ:はい。

プミ:脱獄はここまで紹介してきたところでは、まだ実行に移してないんです

   ね。これから、だんだん、少しずつやっていくわけです。

   あとで説明しますけどね。

タキ:あ、はいわかりましたw

プミ:ぽんっと脱獄できるわけでないので、その過程が進んでいくごとに、疲

   労と焦りが蓄積されていくわけですそれが、登場人物の顔に示されると

   いう意味でした。

タキ:脱獄の進行具合を表すパラメーターの役割をになっているという解釈で

   大丈夫でしょうか。

プミ:そのとおりです。ありがとう。

タキ:ありがとうございます。

プミ:そういう訳で、なにか人のなまなましさが前面に出てこない気がするん

   ですよね。白黒画像ともあいまって。

プミ:では、ストーリーを進めましょう。

プミ:脱獄計画を共有した5人は、さっそく計画にとりかかります。

プミ:実は囚人のひとり、リーダー格、と先ほど紹介したロランは、3度脱獄

   の経験がある人物なのです(また捕まってるけど)。

プミ:余談ですが、ロラン役の人は、役者さんではなく、前述の原作者ジョ

   ゼ・ジョヴァンニと脱獄をともにした「元・本物の脱獄囚」ですw

タキ:すげえw

イコ:w

プミ:実はこの5人の囚人を演じている人たちは、役者も混じってますが、こ

   の時はほとんど素人同然だったらしい。

プミ:有名な俳優だったら、囚人を演じても、色が付いてしまう。演技がうま

   すぎても、人間らしさが前面に出る。そういう意図もあって選んだのだ

   と思います。

イコ:ジブリの声優の起用方法みたいですね

プミ:あー、それは言えてる。

プミ:でも、あれって、宮崎監督が声優を嫌っているって聞いたことあるけ

   ど…

タキ:噂はありますねw 

イコ:そうなのかな。でも、上記の理由が主になっているようですけど

プミ:そっかw でも確かにいっしょの効果だと思います。

プミ:では続きを…

プミ:ロランはまず、身の回りの(持つことを許されている?)小物をうまく

   利用して、脱獄のためのさまざまな小道具を作っていきます。鏡の破片

   とブラシの柄を使って、房ののぞき穴(本来は看守が中をのぞくための

   穴)から外を見張るための潜望鏡を作ったり…

プミ:こういったところは経験者の知識が生かされているのでしょう。圧倒的

   なリアリティがあります。

プミ:そして、ロランは、この刑務所の見取り図を知っているらしい。

   自分のいる房の床に穴を開け、まずは刑務所の地下に出る。そして地下

   にあるであろう、下水道とつながる場所を探し出し、そこから脱出しよ

   うとするのです。

プミ:さて、房の床はコンクリートです。どうするか?

プミ:ロランはそなえつけられた折りたたみ式ベッドの枠を分解して、一本の

   鉄棒を取り出します。これでひたすら叩いて穴をあけるのですw

イコ:たいへんだなぁw

プミ:こればっかりはしょうがない。

プミ:もちろん大きなリスクを伴います。コンクリートを叩くとどうしても大

   きな音が出る。それで、刑務所が静まる夜ではなく、むしろ様々な音に

   あふれる日中にやる。

プミ:先ほど紹介した潜望鏡で、見張り役が外の廊下の左右を確認しつつ、ひ

   たすら叩きまくるのです!

タキ:これは緊張感があるw

イコ:まじでそんなことやってたのかなwww

プミ:かもしれんwwww

プミ:さて、ここで演出をいっきに二つ説明させてください。

プミ:まず演出その③「効果音の強調」。

プミ:この映画にBGMはありません。エンドロールに音楽が流れるだけです。

   しかしものすごく“音”を感じさせる作りになっている。

プミ:看守たちの歩く足音、どこか他の房の作業の音、登場人物が物を取った

   りするちょっとした動きの音…。

   これらが、はっきりと聞こえてくるのです。明らかに強調されていま

   す。BGMがないにも関わらず、本作は音で埋め尽くされていると言って

   もいい。

   これが緊張感、焦燥感を非常に高めます。

プミ:こうした演出は、エンタテインメント的な“スリル”とは異なったもの

   です。 “ハラハラドキドキ”って感じじゃない。

イコ:日本のドラマを見ていて思うんですが、いつも壮大なBGMで盛り上げよ

   うとしますよね。

プミ:うんうん。

イコ:ここが「泣きどころ!」みたいな

プミ:そうそう。

プミ:もちろん、それが効果的だと言えるからそうしているんだろうけど、い

   かにも、作り物って感じがして、冷めちゃう部分もあるよね。

イコ:おれは脚本の欠陥を「いいわけ」で埋めているようにしか思えないけれ

   どw

プミ:そう言えてしまう作品が多いかもしれない確かにw

プミ:ではもう一つの演出を紹介します。演出④「手元の動作・物体へのクロ

   ースアップ」。

プミ:本作は、例えば先ほどの潜望鏡を作るシーンや、ベッドの枠を分解して

   鉄棒を取り出すシーンなど、登場人物たちの手元の動作や扱う物体への

   クロースアップ画面が、非常に多いのです。

プミ:前述の演出①②の効果と、この演出③④によって、人物ではなく、“脱

   獄という行為そのもの”が、主張しているかのように、主役であるかの

   ように前面に押し出されてくるのです。

イコ:ふむふむ

プミ:これらの演出がかみあった最も象徴的なシーンが、先ほど説明した“穴

   あけ”のシーンです。実は、こここそ、本作の最も象徴的なシーンであ

   ると思っています。僕は何度観ても、このシーンで鳥肌が立ちます。

プミ:ちょっと再現しますw

プミ:見張り役が近くに看守がいないのを確認後、ロランが先陣をきり、床に

   鉄棒を打ちつける。

   とてつもない音がする。

プミ:本当に外には聴こえてないのか?

   本当に他の音にまぎれているのか?

プミ:他の囚人たちに焦りの表情が見える中、それでもロランは鉄棒を打ちつ

   け続ける。

プミ:見張り役の囚人も気が気でない

プミ:左右に潜望鏡の鏡を回転させて廊下をきょろきょろ

プミ:そこへ、床、鉄棒、手元のクロースアップがくる。

   叩くたび大きく響く硬質な、不愉快な音。

プミ:それにともなって少しずつ少しずつだが、コンクリートが削れ、砕けて

   いく。

プミ:ロランの息遣い。

   あらくなっていく

   ついに限界が来た。

プミ:叩き手はマニュに交代する。

   さらに激しく叩き続ける。

   砕けたコンクリートやその下にあった、土がたまってきて、時に払いの

   ける。

プミ:誰かが、飲み物を飲むのに使うカップを手元に差し出す。

   大きく砕けた破片を入れて後ろにどける…

   ガラガラと、また違った不愉快な音が混じってくる。

プミ:ふう(終)

プミ:このような動作が、極力少ないカット数で(実際ある部分では、数分間

   ノーカットの長回しで)映し出されるのです。

   否応ない緊張感です。

イコ:すごそう

タキ:こえええええw

プミ:いや、すごいんですよほんとw

タキ:見てると脇汗と手汗が凄いことになりそうw

イコ:さっきまでのお話を聞いていて、この映画は身体の表現にこだわってい

   る気がしましたね

プミ:そうですね。体、それもそうとうアップでの動きが、強調されています

   ね。

プミ:やはり、全身で動いているのを撮影しているのと比べて人間的でなく、

   機械というと言いすぎかもしれないけど、そんな感じを受けてしまいま

   す僕は。顔は、指標のように思えますしね。

イコ:ただひたすら脱獄していく過程を追うわけなんだなー

プミ:そのとおり、ひたすらですw

プミ:で、結果、穴あけは成功します

プミ:穴があき、カットが切られた時の解放感と言ったらない。しかしもちろ

   ん弛緩しきったわけでない。あまりにも高い緊張から解放されただけで

   す。

イコ:まだ終わってないですもんね

プミ:うん。

プミ:登場人物たちは、これから、この穴を隠しつつ、地下に降り、看守の目

   を盗んで下水道とつながる場所を見つけ出さないといけない。

タキ:面白いなぁ

プミ:新たな緊張がやってきます。映画の終わりまで、やってき続けます…

プミ:ふうw ここまでだいたい予定通りですw

イコ:ww

プミ:ここまでで何か質問ありますか? もうすぐ終わりですが…

タキ:大丈夫です! 

イコ:プミさんが最も文学を感じるのはどこですか?

プミ:えーとね。ここまで説明してきて…

   演出方法が、おそらく表現したいであろう内容にとても合致していると

   思うのです(うまく説明できてるか分からないけど…)。

タキ:「脱獄」そのものを描く。それに徹しているということでしょうか。

プミ:そうですね>タキートンさん

タキ:なるほど、本当に面白いw

プミ:僕は、いつも小説を読むときに、そこで選択された方法について考えな

   がら読んでいます。選択された方法が、内容を補完するというか、一致

   しているというか、そういった小説を、僕は面白いと思うことが多いで

   す。

プミ:前(※第一回作品紹介の時)に紹介した「蜘蛛女のキス」もそういう意

   味で挙げたのです。

イコ:それがプミさんにとっての、すぐれた文学なんですね

プミ:そうですね。それだけではないと思うけれどもね。第一義的とは言って

   いいと思う。

プミ:それが、他メディアで実践されている。素晴らしい小説を読んだ、それ

   と同じ感覚といっていいのかな、と思ったという訳です。

イコ:なるほど、プミさんの文学観を知る上で、「穴」は重要な作品といえる

   でしょうね。

プミ:自己分析は難しいけど、そう考えてくれると嬉しいw

イコ:どんな作品を紹介するかで、その人の文学観がより明確にあらわれる

タキ:確かに

イコ:前回(小説・詩)よりも、より分かりやすいと思いますよ

プミ:そうかもしれないね。そうだとこのイベントを企画した意味があると思

   う。よかった。お二人のも楽しみにしてるよw

イコ:今回、プミさんの語りが早かったww あらかじめ原稿を作っていたん

   ですね!!

プミ:ある程度ねw やっぱりライブ感は大切だから、アドリブもだいぶ入っ

   てるよ。

タキ:www 凄いわかりやすいし、映画見た気になりましたよw 

イコ:おれもなりました。でも、実際に見ないとね

タキ:そうですねw

プミ:ありがとう。実は、DVD絶版なんで

イコ:えっ・・・

プミ:レンタルしていただけたらと

イコ:ああ、レンタルにあるなら大丈夫ですww

タキ:ツタヤとかにあるんですかね?

プミ:フランス映画コーナーで探してみてください。ヨーロッパかも。もしく

   は名作とか…

タキ:なるほど。ありがとうございます。ビデオ借りるとか、ほんと10年ぶ

   りぐらいですw

プミ:そうなのw?

タキ:滅多に借りないので、今回は良い機会ですw

イコ:1960年の映画なんですね

プミ:1960年です。

プミ:こんな名作を、絶版にするなんて…復刻してほしいな…

プミ:さて、ではもうちょっと残っているので、やっちゃいますね。

イコ:はい

タキ:お願いします。

プミ:くわしい内容の説明はここまでで十分だと思います。この後は

   彼らは無事下水道への道を見つけられるのか?

   見つけられたとして簡単に通れる道なのか?

   ガスパールに起こる(ストーリーを大きく動かす)変化とは?

   そして結局、彼らは無事「脱獄」を成し遂げられるのか?

プミ:これらは、ご覧になって確認してくださいw

プミ:ただ一つだけ言っておくと、この映画のラストシーンは“衝撃のラス

   ト”と評されることが多い…です

タキ:それはたのしみw

プミ:そして、もちろん、以上は僕の見方であって、他にも様々な角度から語

   れる映画だと思っているので、もしご覧になられたらぜひ意見を聞かせ

   てほしいです!

イコ:ぜひとも語りましょう

タキ:はい、会員カード作ってきます!

イコ:w

プミ:wwww

プミ:では最後に、この映画を見るなら、夜に部屋を真っ暗にしてご覧になる

   ことをおすすめします。緊張感が倍増するので。

   以上です。ありがとうございました!

タキ:やだあw

イコ:映画見るときはいつも真っ暗にしてるのでokです!

タキ:まじすか、こわすぎるw

プミ:僕もだいたい暗くしてみるね

イコ:たのしいですよ。映画に入りこめて。

タキ:なるほど…けっこう怖がりなんですw

プミ:ホラー的な怖さはないので、そこは安心してね。

イコ:看守こわい!ってなるかも?ww

タキ:ホラーよりも怖そうですよwww絶対みたあとシャワー入るほど汗かく

   w

プミ:wwwとにかく本当にシンプルなんだけど、時間たつの早いんです。

   何回も見たけど、そのたび新鮮な汗です。

プミ:これは僕の生涯ベスト10の映画を決めるとしたら、絶対に外れない一本

   です。一位とかは決めれないけど(いい映画が多すぎて!)

イコ:楽しみです

タキ:これは見ねばなるまい…!

プミ:お願いします!まったくの余談ですが、作家の堀江敏幸がある週刊誌

   で、もっとも好きな映画に挙げていました。ちょっと嬉しかった。

イコ:そうなんですかー

プミ:むしろマイナス要因かイコさんにはw

イコ:いやそんなことはないですよ!w

プミ:www

タキ:プミさんは映画もお好きなんですね。

プミ:最近はめっきり観てないけど、いっとき、映画ばっかりみてたときがあ

   るんです。

イコ:文学者に好かれる映画。いいですねぇ

イコ:おれは映画を文学的に評価するとなると、日本映画が多くなるなぁ

タキ:確かにうちの大学の文学系の先生も映画好き多いです。

プミ:日本映画だと、さっきの外れない映画に一本入るのがあるよ。鈴木清順

   の「陽炎座」ってみた?泉鏡花原作やけど…

イコ:見てないすね

プミ:すごいので観てみてください!ぜひ。

イコ:レンタルにあります?

プミ:うーん、あるかもしれない。松田優作主演なので…

イコ:おお、それならありそうだw

タキ:おお

プミ:なかったら「ツィゴイネルワイゼン」でもいいです。鈴木清順監督のい

   っときの映画が、本当にすごい。

イコ:そのうちぜんぶ借りますよ

プミ:ぜひ。

イコ:いろいろ紹介してください

タキ:私も映画にうといので良い指針になります。

プミ:おっけー、いつでも紹介するよ。

プミ:では、いったん、休憩入れましょうか?

タキ:はい。

イコ:はーい

 

 

2.Sound Horizon(の作品)」について 紹介者:タキートン20402300

プミ:おっと、では次ですが…

イコ:ういーす

プミ:タキートンさんに、お願いしましょう。オーケーかな?

イコ:ww

タキ:wもちろんOKですw

イコ:ドゾー

プミ:では、どうぞー

タキ:はい、ではお願いしますw 

タキ:レジュメをつくってきたので、お配りします。

プミ:うけとりました! すげえ分量!

タキ:レジュメというより、なんかも全部書いちゃったんで、これをなぞる感

   じで書いてきますw 

イコ:すげっ

プミ:おー、楽しみ

イコ:サンホラ評価高いですよねー

プミ:あ、僕全然知らないw

タキ:では、まずSound Horizon知ってるかたーってお、ご存知ですか?

イコ:ちゃんと触れたことないので、楽しみです

プミ:さきに答えちゃったw

タキ:いえ、やりやすいですwありがとうございますw

タキ:まず、僕が知ってる限りではなかなか珍しいバンドの形態をとっていま

   す。メンバーは作詞作曲編曲を担当するRevo一人です。

タキ:それで楽曲が全部物語になっています。

   ポップでいえばバンプオブチキンとかも物語的音楽があったりします

   が、Sound Horizonのはちょっと違います。

タキ:物語を語るために、音楽を使っているという点で大きく違います。既存

   の物語に音楽をあてはめているのではないのです。つまり、悪い人がし

   ゃべっている場面は、悪い感じの音楽に、可愛い娘が喋ってるときは可

   愛い感じの音楽に変わります。ころころ展開するのです。

   これは最近のアルバムでより顕著になってきました。

タキ:そしてハード面でも特徴があります。普通、アルバムはシングルで出し

   た曲を収録する形だと思います。Sound Horizonは、一つのCDが一つの

   本を意味します。

   つまりアルバム一枚でひとつの物語を語っているのです。シングルCD

   短編物語になっています。

イコ:ふむ

プミ:じゃあ、

タキ:はい

プミ:アルバムとシングルの曲はかぶらない?

タキ:基本被らないです。ただ、ベスト盤として過去に三回ほど人気曲を集め

   たものはだしました。

プミ:でも、それは短編集ってことになるのだね。ベストセレクション集(ア

   ンソロジー)っていうか…

タキ:そうですね。そこは音楽としての部分を出した形になると思います。 

プミ:へえー、おもしろいなあ。

タキ:でも、どれも同人時代の話で、デビューしてからは一度もないですね。

タキ:ありがとうございますw ちなみにサンホラは同人音楽出身です。

プミ:同人音楽って言葉自体初めて聞いたwそりゃ、あっていいよね。

タキ:コミケとかで今ではけっこうでかいジャンルになってますw 初音ミク

   がでかかったですね。あれで爆発的にサークルが増えました。サンホラ

   は、その元祖みたいなものですね。

プミ:ははー、なるほどー。ためになる

タキ:ありがとうございますw では、続けますw

プミ:はいー

タキ:それで、サンホラ音楽は物語を語るものですので、ナレーションも入り

   ます。声優さん使ってます。セリフも入ります。歌ってる最中に後ろで

   登場人物が口論してますw

タキ:Revo氏がインタビューなどで繰り返し語っているのは、

   「今までの音楽には物語を語る力が弱すぎた。僕は音だけを使ってどこ

   まで物語を語れるかに挑戦したい」

   みたいなことを言っています。

タキ:と、いうわけで、ここでああだこうだ言ってもなかなか伝わらないと想

   いますのでw ここで一度聴いて頂く形にしたいのですが、大丈夫でし

   ょうか?

イコ:硝子の棺で~というやつですね。実は今、すでに聞いていたりしてw

タキ:いえいえwこちらこそすみませんw はい、白雪姫の話ですw ってイ

   コさんw話が早いw

プミ:今、再生しましたー

   (※ここからタキートン氏が用意してくれた、5thStoryCDRoman」か

   らの音源「硝子の棺で眠る姫君」およびその歌詞を、参加者それぞれが

   視聴しながらの会話となる)

タキ:子役をボーカルに使ってるので、声がきんきんですがご勘弁をw

イコ:最近のライトノベルアニメっぽかったり、ディズニーっぽかったりw

タキ:イコさん、そうですねw最近はディズニー映画的音楽が強いですねw

タキ:ひとつ大事なことをいい忘れてました。メンバーはRevoが楽曲にあわせ

   てその都度、人を集めています。前回のCDでは、るろけんのOPやってた

   SIAM SHADEのドラマー敦さん、ギタリストのマーティー・フリードマン

   などを起用しています。

イコ:へえー

プミ:ふむふむ。ベース音がすごいねww

タキ:そうですねw鬼畜的な感じですよねw

タキ:あ、歌詞もありますのでー。

プミ:確認しながら聞いております。

タキ:ありがとうございます。

イコ:聞き終わりました

タキ:了解です。

タキ:では、プミさんはまだのようですが、すこし書き連ねていきます。

プミ:どうぞどうぞー

タキ:頑張りますw

タキ:サンホラの物語は常に多くの矛盾を孕んでいます。一言で言うならば

  「現実と虚構の相互入れ子構造」があるんです。

タキ:簡単に言うと、誰かの現実が誰かの虚構であり、誰かの虚構が誰かの妄

   想なのです。

タキ:今回は5thStoryCDRoman」に絞ってその構図を見ていきます。

   まず物語のあらすじです。

タキ:フランス人主人公イヴェールは幽霊ですw 彼は双子の人形をひきつれ

   ています。彼は双子の人形に「僕が生まれてくるに至る物語」を探して

   きてくれと頼みます。

   それを綴ったのが一曲目「朝と夜の物語」になります。

イコ:ふむふむ

プミ:聞き終わったよ。続けてね

タキ:一曲目は総じて、物語全体を総括するような曲です。二曲目以降は、そ

   の双子の人形が探してきた物語が一人称視点で綴られていきます。

タキ:欲深い人々に殺された男の物語、片腕を切られ復讐に生きる男の物語、

   村を焼き討ちにされた少年少女達の物語、犬と兄妹になった盲目の少女

   の物語、などです。

タキ:11曲、それぞれ全く関係がない物語が語られていきます。ポリフォニ

   ーという文学用語がありますが、まさにその手法です。関係のない話で

   一つのメッセージを浮かび上がらせるのです。

プミ:一人称なのが面白いね。多声的だね。

タキ:そうなんです。

タキ:このため、各所で、物語同士の繋がりの議論が行われています。

イコ:みんなが議論したくなるように作っているんだね

タキ:そうですね。 

タキ:能動的に音楽を聴くことを求めています。

イコ:ふだんはわりとみんな、受動的に聞きますもんね。歌詞の意味を深く読

   みとろうとはしないし

プミ:僕は完全に受動的だねw

タキ:僕も基本そうですねw 

イコ:でもJポップだと、歌詞に対する信頼のなさってのもあるよなw

タキ:あれは信頼ないですねw 

プミ:もともと僕はビート至上主義w

イコ:Jポップの歌詞は、本当に画一的で、表現から遠いところにある。もと

   もと詩人でもなんでもない人が描いてるんだからしょうがないけれど、

タキ:ありがとう、とかストレートに言うのは正直やめてほしいですw

プミ:wwwわかるわー

イコ:そういうところに、異を唱えたうえでの発言なんじゃないだろうか、上

   の発言は(※上記、Revo氏の発言「今までの音楽には物語を語る力が弱

   すぎた…」)。

タキ:だと思います。 

プミ:なるほど。演歌とかはどうなんだろうか…

イコ:演歌は、わりと物語ってるんですよねー

タキ:演歌の歌詞ですか… 景色は浮かぶという印象はありますね。背後の物

   語が見えてくるというか…

プミ:そんな気がするね。だけど、今世間を席巻してるのはJPOPだものね。い

   や、Kポップか…

タキ:僕がJPOPが嫌いな一番の理由は、画一性なんですよねw どれも聞いて

   て普通だから面白くないですw

イコ:初音ミクとか、ちょっとアングラなところ発祥の音楽が、今はずいぶん

   チャートをしめるようになりましたけどね

プミ:そっかー。国内チャートとか全然見ないからなあ。

イコ:「一歩先に踏み出そう」「前を見よう」「あなたが好き」「君を愛して

   る」

プミ:JPOPはほんと画一的だね。

イコ:Jポップの文脈

プミ:形式でもそうだよね。ライトなヒップホップ風が流行ったらそればっか

   り…

タキ:なんか、おまえなんかしねって曲がもっとあってもいいと思うんですw

イコ:神聖かまってちゃん?ww

タキ:かまってちゃんは知らないっすwすみませんw

イコ:サビ「死ねよ佐藤お前のために」こんなサビが延々ループw

イコ:これもニコニコからブームに火がついた一例なんですけどね

タキ:そういうロックなものが欠けすぎてて、綺麗なジャイアンみたいな曲ば

   っかなんですよねw

イコ:きれいなジャイアンねぇw

タキ:もっとジャイアン的な部分があってもいいのではとw

タキ:では、そろそろ話を戻しますかw

イコ:戻してください

プミ:勉強になりますですw

タキ:僕も勉強になりますw はいw

タキ:それで、「ポリフォニー」的な要素で「Roman」は何を伝えようとして

   いるか、という話なんです。

タキ:Romanの歌詞にあり、ライブのタイトルにもなった「僕達の繋がる物

   語」、ここに大きなヒントがあると思っています。

タキ:まず、主人公イヴェールの立ち位置を確認しなくてはなりません。彼は

   すでに死んでいて、人形に僕が生まれてくるに至る物語を持ってこさせ

   た。

タキ:その結果、繋がりがないように思える物語が来た。これは、我々聴衆と

   同じ立場なんですよね。イヴェール=聴衆です。我々はイヴェールと一

   緒に彼の物語を探さなくてはならない。やることが全く一緒です。

タキ:このことは、一曲目のイヴェール視点の曲で、「君」「僕達」が多用さ

   れていることからも言えます。

イコ:「君」っていうのは人形?

タキ:わかりにくいですねw「君」というのは我々のことを指しています。

タキ:「君が生きている今」という詩があったりします。

タキ:これはナレーションで、明らかに我々に語りかけているんです。

イコ:聞き手の参加をうながしているということ?

タキ:そうですね。それが一義的な意味です。

プミ:聴き手への語りかけがナレーションで、人形への語りかけ(もあるよ

   ね?)は歌われる歌詞なのかな?

タキ:いえ、すみません説明がおかしかったですw

タキ:「泣きながら、僕たちは来る」という詩があります。これは主人公イヴ

   ェールが歌っています。「泣きながら、生まれてくる」という意味なの

   ですが、これは、人形に語っているのではないですよね。我々人間一般

   を指しています。

タキ:ナレーションは時と場合によって、違うのですが。CDのラスト、最期の

   語りかけで「君が生きている今」という誰でもない声が入ります。これ

   はRevoからのメッセージと捉えられます。

   大丈夫でしょうかw??

イコ:「君」も「僕達」も我々のことなのか・・・

タキ:そうなんです。「君」と「僕達」

プミ:分かりました。僕の聞き方もいけなかった。そんなきっちり分かれてい

   る訳ではないよねw

タキ:ありがとうございますwそうなんです。「君」と「僕達」が混合されて

   使われている点が重要なのです。

タキ:つまりイヴェールの二重性を意味しています。主人公であり、我々なん

   です。

タキ:このメタ物語性が読解の鍵になります。

タキ:さきほどは、関係がなく見える物語、といいましたが、それなりに関係

   があります。

タキ:どういうことかといいますと

タキ:イヴェールの母親らしき人物、やAという曲の女の子がいて、Bという曲

   にはそのお父さんらしき人がでていたりします。でもその関係性は確か

   ではないのです。繋げようとすると、色々と矛盾がでてきます。

タキ:例えば、イヴェールは「生まれてくる前に死んでいく僕」と言っていま

   す。しかし母親らしき人物は「産めたことが幸せだった」と言っていま

   す。

タキ:そしてこの母親らしき人物は二回物語に登場します。

   一回目は「棺にわが子の亡骸を入れて、双子の人形を一緒に入れた」と

   言っています。イヴェールの母親っぽいです。

タキ:でも二回目は「産めたことが幸せだった。お幸せに生きなさい」と言っ

   ています。明らかに矛盾しています。

タキ:だからサンホラの楽曲は、人々はあらゆる仮説をたて議論します。

   ここまで、大丈夫でしょうかw

イコ:ちょっと聞いただけでも解釈したくなりますねww

タキ:はいw 

プミ:おもしろい。だいじょうぶw

タキ:ありがとうございますw

タキ:一曲目の最期にイヴェールは小さな声で「嘘をついているのは誰だ」と

   言います。つまり各曲に嘘をついてる人がいるから、物語が矛盾するみ

   たいなことを言っているわけです。

タキ:それでみんなうそつき探しをする。

   でも、ここが大事で、正解など無いんです。

タキ:「僕達が繋がる物語」―Revoが伝えたいこと、はそんなことではないか

   らです。

タキ:問題は「なぜ、嘘をついてる人がいるのか」です。

   実はこれが「物語の本質」なのです。

タキ:物語とは、人々の想像力によって生まれます。それは歴史のような事実

   であれ、同じことです。つまり、人形が集めてきた物語は、人々の頭に

   あるもの、そのものだったのです。

タキ:例えば、一つのできごとに対して、二つの見方ができたりします。また

   ある人は妄想や勘違いでそれが事実だとおもっているかもしれません。

   歴史であれ、物語とはそもそもそういう矛盾をはらんだものなのです。

タキ:さらに言うと、我々が「Roman」を聞いて、イベールの物語を想像した

   り、探したりする行為が、また「矛盾」を生み出す行為に他なりませ

   ん。

プミ:ふむふむ

イコ:なるほどねー

タキ:人形は我々の幻想までをも拾ってくる、ということです。すみません、

   とっちらかってw 

イコ:よくわかりますよ

プミ:全然とっちらかってないと思うよw

タキ:ありがとうございますw

タキ:「Roman」の物語に、この物語が孕む平行世界という解釈をするとすん

   なりと読めます。誰もが、だれも自分にとって正しい歴史を話してい

   る。しかし、矛盾をしてしまう。

タキ:サンホラは「輪廻」という概念を多用します。これはどのアルバムにも

   共通して使われています。

タキ:全てのものは輪廻すると主張します。物語もまた輪廻するのです。これ

   は、間テクスト論的だと私は思っています。

タキ:6thアルバム「Moira」では縦糸と横糸ということばが使われました。

タキ:縦糸は歴史をあらわします。過去の物語が未来の物語に影響を与えるの

   です。

   横糸は想像力です。今生きる人々の想像力が重なりあって、それが一人

   の作家によって物語として生み出される。

タキ:また現在の作品に影響を受けた読者が、過去の作品を読むことで、別の

   解釈が生まれる。このように、物語は縦横無尽に関係しあい、輪廻し続

   けています。

タキ:我々はこのような環境の中にいます。

タキ:イヴェールはそんな我々を体現した姿、と捉えることができるのです。 

タキ:自分が今いる世界をとらえようとすると、様々な解釈が可能な歴史、物

   語が行く手をはばみます。結局イヴェールと同じく、正解は永遠に見つ

   からないのです。

タキ:でも「朝と夜の物語」でイヴェールはこう言っています。「いつの日か

   繋がる物語」

タキ:現在ポストモダンで、人々はバラバラになっています。価値観が多様に

   なっています。でも「Roman」でRevoは「僕たちはみんな、物語で繋が

   っている」ということを主張しているのです。

タキ:サンホラには国歌がありますw その一節にはこうあります。

   「我等…生まれ落ちた地はそれぞれ違うけど胸に同じ故郷を抱いて」

タキ:サンホラという物語を抱いて、我々は繋がっている。またその想像力が

   世界中に広がっていく。僕らは想像力で繋がれるっていうメッセージだ

   と思います。

   という話でしたw 長々とありがとうございましたw

プミ:すばらしいと思います!

タキ:ありがとうございます(涙

イコ:最後、まとめがすばらしいです

タキ:途中頭がこんがらがって焦りましたw 失礼しましたw

プミ:小説を僕らが読むときに、人それぞれの読み方があるけど、それだって

   過去に読まれてきた歴史があって、その何らかの歴史の中で、読んでい

   るのかもしれないものね。

イコ:そうそう、そこはおもしろいなと

プミ:歴史の中でってか、ある部分とつながってと言うか…

プミ:とっても文学を感じました!

タキ:ありがとうございます!

イコ:おれたちは歴史の縦糸を考えながら、「近代」文学について語りますか

   らね

タキ:そうですよね。そして読む人によって物語からいくつもの平行世界が生

   まれる。

イコ:読む人によってあらわれる世界がちがう、きわめて文学的じゃないです

   か。「画一的」と対立している。

タキ:そうですね。やはり解釈をいくらでも産めるものほど、生産的なのかも

   しれません。

プミ:僕はテキストに書かれたことを書かれたまま、その文字のみで何かをつ

   かみたいと思って読んでいる者なのだけど、それだからと言って、正解

   が一つしかないと思って読んでないし、優れた小説は、そういう読み方

   をしたって様々な解釈を可能にしていて、驚かされています。

   文芸部の読書会や合評会でも、いつもすごい発見をするしねw

タキ:そうなのですよね。イヴェールはそういう物語を読む人、語る人をその

   まま表した主人公だということなんですね。

イコ:誰ひとり、まったく同じように読んでないんですよね>読書会、合評会

タキ:読書会や合評会は私も楽しみです。

プミ:うん。本当に。タキートンさんにもぜひぜひ、参加してほしいです!

タキ:よろしくお願いします!

プミ:タキートンさんに一個質問があります。

タキ:はい。

プミ:このCDって、イラストみたいなものは全然ついてないの?

タキ:あ、ついてます。

プミ:おっ、それは、物語という意味ではなく、かもしれないけど、想像力を

   限定させると言えない?

タキ:そうですね。解釈の手助けにしていることは事実です。

タキ:サンホラは物語を追えば、復讐とは何か?とか運命とは何か?という深

   い問いかけがあるのです。そういうレベルで読む上では、解釈の手助け

   になります。し、想像力を限定しますね。

イコ:それは作り手のやさしさかもしれないなぁw

プミ:うん。そうだねw ある程度のきっかけは必要かも。

タキ:多分優しさですw

プミ:ただ、イラストもなにも付いてなかったら、それはすごいな、と思った

   から。

タキ:なるほどwさらに問題なのがライブなんです。

プミ:おー、ほんとだ。どうするの?

タキ:ミュージカルみたいに物語を演じるので、物語は限定されまくり。私も

   ライブ見て、そういう意味だったのか、と符合させちゃったりします。

プミ:そうそう、それも聞こうと思ってたこと。大外の枠としては、ミュージ

   カルに近いよねって。中身は全く文学的だけどw

イコ:おれも、ちょっとミュージカルっぽいって思いましたよ

プミ:もしもライブ毎に解釈が違うようにやってたら…w それはすごいぞw

タキ:w

タキ:解釈が決まってますし、確かにミュージカルくさい

タキ:ですが、Revoはインタビューでこう言っています。

  「音だけでどこまで表現ができるかが勝負だから、CDが一番本質的なもの

   です」

プミ:ほー、多くのミュージシャンが「ライブこそ」と言う中…

タキ:音楽で、どこまで物語を演出できるか、なので、身振り手振りは本来邪

   道なんですよねw

プミ:まあ、僕が言ってるのはジャズとかだからねw

タキ:なるほどw

プミ:そういうスタンスが、悪いってんでないんだよ。おもしろいな、と思っ

   て

タキ:はいwで、Revoはライブを、観客を物語の世界に登場させる装置だと言

   っています。ただ過ぎていく物語を見ていくと「そこのお前のってんの

   か?」と、物語の登場人物に話しかけられる。そういう別ベクトルでラ

   イブをとらえているみたいです。

プミ:そういえば、ライブはCDで聴くより、能動的音楽体験と言えるね。

イコ:ですねー

タキ:そうですねー。

プミ:そういうことと関係しているのか…えっとー、ちょっと考えがまとまらないw

タキ:はいw サンホラライブは、超能動的ですねw

タキ:前々回行ったのですが、新曲を作ってきた、といきなり言って。ふりつ

   けも考えてきたからおどれ、と言ってきました。

プミ:www

イコ:おどったの??ww

タキ:みんなで踊りましたよwww

タキ:10ぷんぐらい練習させられてw

プミ:練習www

イコ:そりゃ能動的だなぁw

タキ:それでしかも踊ってる最中に、画面上に隕石が降ってくるんですよw

タキ:その隕石が降ってきた方向に向かって、会場は踊ってる最中でもウェー

   ブしなきゃいけないw 最期は連続できたので、息が切れましたw

イコ:ww

プミ:すごいライブや…w

プミ:おっけーです。イコさんは何か質問ありますか?

イコ:大丈夫でーす

タキ:ありがとうございました!

プミ:こちらこそ、ありがとうございました。ちょっとまとめ、大変そうだけ

   ど、がんばるよw

 

 

3.「交響詩篇エウレカセブン」について 紹介者:イコ(2300~翌035

プミ:さて、ではでは…ツイートで予告ホームラン的熱量を示していましたw イコさん!

イコ:予告ホームランwww

プミ:どうぞーw

プミ:私はホームランを確信しているぜ

タキ:お願いしますw

イコ:よろしく~

プミ:でたーエウレカセブン!

イコ:まぁこれですよ

イコ:ひょっとしてタキートンさん見たことあるかもな、と思った

タキ:エウレカは見たことないですwが、かねがね噂は聞いていますw

イコ:よかったw

プミ:僕は前も言いましたが、数話みたことがあるだけ。

イコ:いや見てたら見てたで熱いんですけどね

プミ:きかせていただきます!

タキ:見ようと思って見れていないアニメですね。楽しみです

イコ:じゃあはじめますね。

プミ:どぞー

イコ:これ2005年の作品なんですけど、なぜか休日の朝やっていたらしい

   んですよね

タキ:日曜やってましたよね。

プミ:はい、それを僕は観た、早起きしたときに

イコ:今からすればなんでやねんって話ですよ

タキ:そうなんですか?

イコ:今の感覚でいうと確実に深夜ものですね

タキ:へ~

プミ:その感覚が僕にはわからんのだがww アニメ全然見ないんです>タキー

   トンさん

タキ:なるほどですw>プミさん

イコ:だってロボットに乗って戦うけど、それで敵を倒すけど

イコ:正義や悪っていう、チンケで胡散臭い、健康的な文脈じゃなくて

イコ:倒された敵に一個の生命があるっていう、それが主人公を悩ませるんで

   すから

プミ:ふむふむ。

タキ:なるほど

イコ:物語は一時、精神的な方向に向かっていくんですよ。画面は暗くなり、

   ヒロインも鬱が入り、まぁ朝にやるアニメじゃないなって誰もが思うは

   ず

イコ:しかしですね、おれはこれを朝にやることにこそ意味があるって思って

   て。この作品は、ただグロかったり鬱なんじゃなくてきわめて意図的な

   表現になっているんですよ

イコ:おれがむしろおかしいなって思うのは、前述の、悪を倒しまくるような

   正義の話の方で、悪ってなんだよと。なんでいつも主人公が正しいんだ 

   よと。

イコ:そしてそれが当たり前のように、子どもの目に入り、耳に入る。たとえ

   ば「ドラゴンボール」や「セーラームーン」。「ドラゴンボール」の悟

   空は結局、快楽的に敵を殺しているんですよ

プミ:わくわくすっぞ、だもんねえ

タキ:バトルマニアw

イコ:敵が小さいうちに芽をつんでおくこともできるんだけど、「いや、オラ

   はこいつが強くなってから戦いてぇ」って、放置しとくんですよ。

   それで敵が強くなり、周りの町の住民を虐殺していく段になると、「な

   にやってんだぁぁぁ!」と、怒り狂う。お前おかしいんちゃうかとw

プミ:wwww

タキ:wwwwwwwwwwwwwwww

タキ:サイヤ人の性ですかねw

イコ:そう、サイヤ人のw

イコ:まぁそんな作品が朝や日中の、子どもの見る時間帯を席巻するなかで、

   この作品はまぎれもなく、世界と若者の成長を描いた良心的なアニメで

   す。

イコ:今回、エウレカセブンの内容について、深く語るつもりはありません。

   あらすじは簡潔にとどめますね

イコ:ある小さな町に住む14歳の少年は、倦怠感を感じている

   「最悪だ」っていつも口にしている。自分の町をつまんない、何もない

   町だっていう

イコ:ところがある日突然、かれの家にロボットが落ちてくる。そのロボット

   には、少女がのっていた

イコ:主人公レントン君は一目ぼれする。そんで、レントン君は少女といっし

   ょに旅に出ることになる

イコ:レントンは少女との恋愛や、ロボットの操縦、いっしょに行動する船の

   クルーなんかとの軋轢を経て、成長していく

   まぁそんなとこですね

プミ:ふむふむ。少し観たことがあるので、画は浮かびます。

イコ:よくあるボーイミーツガールの筋立てで、ガンダムやマクロスなんかも

   意識されていて、さらにセカイ系で、という、分かりやすい筋立てなん

   ですよ

タキ:なるほど。ここまでは王道ですね。

イコ:ええ、きわめて王道です

イコ:さて、レジュメにもあげましたが、この作品の文学的なところを説明す

   るために、ひとつのキーワードをかかげたいと思います

イコ:それは主人公が「14歳」であること

イコ:ここでみなさんと語りたいんですよね

   ご自分の昔を思い出してくれていいんですが、14歳って、どんな年齢

   だと思います?

イコ:ちなみに中学二年生、三年生くらいですよ

プミ:うん、僕はねえ(思い出すと…)、自分が、周りにどう思われているの

   かが異常に気になっていました。それまで何も気にならなかったのに…

イコ:なるほど

プミ:きっと自分の立ち位置が分からなくなったんだと思う。  

タキ:14歳…中二。世界に対して怒りを覚え始めた頃ですねw 

イコ:世界に対して?

タキ:そうですね。戦争で被害にあってる子がいるのに、なにまわりのやつら

   は悠長なこといってんだ、みたいなw

   自分は何もしてないのにw

イコ:立ち位置、怒り・・・

   ははー、なるほどね

プミ:周りにとっての僕という意味では、世界における立ち位置だと言える。

   僕は自分のことばっかだなw

イコ:自分が揺らぎますよね

プミ:ゆらいだね。すごく

イコ:あと、変に偽善的だったりする

タキ:そうですね。善とか悪に敏感でした。

イコ:おれもそういう少年でした

イコ:なんかうまく人とかかわれなくなった

プミ:うんうん。

イコ:それまで当たり前のように接していたのに、すごく人からどう思われて

   いるのか気になってしまって

プミ:だよね

イコ:とくに女子に話しかけられない

プミ:同感

タキ:すごいわかります。

イコ:そのくせ、周囲のいろんな状況には義憤を感じて、戦争とかに興味をも

   った

タキ:同じです

イコ:けれど自分でなにするわけでもなく、映画見て小説読んで生きてた

プミ:僕はそこがゲームになるw

イコ:あーw ゲームもしてました

イコ:母親や父親に対して、なんとなく怒っていた。けれど両親から受けるも

   のは、いつも当たり前のように受け取っていた

プミ:めっちゃ怒ってたわ、そう言えば…

タキ:同感すぎるw

イコ:心理学的にいうとアイデンティティとか、マージナルマンとかいわれる

   わけですが、こういう年代は、いろんな作品で描かれるわけです

イコ:すごく有名な例として「耳をすませば」「エヴァンゲリヲン」

   どっちも主人公は14歳で、しかも悩んでいる

プミ:幸い両方観ているw

イコ:製作者の意図的な年齢設定がうかがえます

タキ:「エヴァ」はまさにそうですね。それを世界の存亡までに話を広げた。

   まあセカイ系ですね

イコ:「耳をすませば」も、おそろしく表現にこだわっていて、思春期の悩み

   や葛藤を、「小説を書く」「恋をする」っていう行為で描いているんで

   すが、エウレカセブンは、上述の2作品よりも、深いところに到達して

   いると考えます

イコ:それはこれから述べるんですが、14歳が世界を知り、剥き出しの感情

   をもって世界と戦い、そして選択をしていくんですよ。

イコ:レントンは、今の用語でいうと、いわゆる中二病なんです。周りの世界

   はぼんやりとしか見えていなくて、なんとなく現状につまらなさを感じ

   ていて、周りに勝手に苛立っていて、見かけのかっこよさに憧れる

   いつかはおれも何ものかになれるって思ってる

イコ:この主人公は、ロボットが落ちてきて少女と対面した時に「一目ぼれ」

   をするんですが、「一目ぼれ」って、勝手なもんだと思いませんか。

   向こうはどうとも思ってないのに「君が好きだ」と勝手に視線を向けら

   れる

プミ:経験ないけど、たしかにw

タキ:僕は一目惚れするタイプですが確かにw

イコ:レントン君は、あまつさえこう思うんです。「ぼくは君が好きだ。だか

   ら君のことを守る!!」なんてかわいいんでしょうか・・・w

   主人公は、こういう段階から出発するんです

プミ:まあ、14歳だからこそのかわいさだね。正常なw

イコ:そう

イコ:もしこれが単なるエンタメなら、主人公にはなにか特別な力があって、

   ロボットを天才的に操縦でき、強くなっていく敵と、はらはらどきどき

   の死闘を繰り広げながら、勝っていき、囚われの美少女ヒロインを助け

   るんでしょうが

   これがねぇ、すぐに裏切られるんですよ

イコ:レントン君は反政府組織の仲間入りを果たし、意気揚々とその船に乗り

   込むわけですが、その船で、クルーから、いきなりこういわれる

   「フツーの子ね」

イコ:美少女エウレカも、レントンの話なんか聞いてくれない。ロボットに乗

   ると、ゲロ吐く始末。なんもできないわけですよ。その船に乗っていた

   子どもたちにもバカにされる

イコ:そうして14歳は、徐々にアイデンティティを失っていく

タキ:面白いw

イコ:どんどん「何もできない無力な自分」を知るようになるんです

イコ:かれは組織の一員になるという選択をした。ならないという選択もでき

   たけれど、そういう選択をしたことによって、世界を知ることができる

   ようになってくる

イコ:そうして、自分が世界に対していかに無力かを痛感するんです

イコ:これは現代の若者ではない、SFの主人公に与えられた特権といえるかも

   しれませんが、だからこそ視聴者は、主人公の悩みの疑似体験をするこ

   とができるようになり、また、主人公を引いた目でも、見ることができ

   る

イコ:レジュメではあえて、中二病風に、vsなんて言葉を使ってみました

プミ:www中二病風なんだ

イコ:わざとですw

イコ:この物語では、14歳は世界との「派手じゃない」戦いを繰り広げま

   す。派手にロボット使ってわんやわんやするスペクタクル作品を期待す

   るとアウトです

   ただそれだけを描くなら、後述する宗教も何も必要ありません

イコ:少年は自分との戦いを始める

   今までいかに自分がぬるま湯につかっていたかを思い知る

   与えられるものをただ諾々と受け入れていたことに気付く

   そうして精神を崩す寸前まで来る(エヴァ的方法)

イコ:しかしこの話のすごいのは、エヴァ最終話が、あのような精神的な終わ

   り方しかできなかったのに対し、自分と向きあい、少年が肉体性を取り

   戻して再び戦いに挑んでいくところです

イコ:さてレントンが戦うのは自分だけじゃない

イコ:さっき、上で話に出ましたが、自分が怒りを覚える大人とも戦うことに

   なる。大人の意見に対して義憤を覚え、勝手な正義感で向こう水な行動

   をとる。そうして自分が子どもであることを否応なく自覚させられる。

イコ:さらには宗教も出てくる。はじめはその宗教に、好意的な感情をいだい

   ていたのに、自分と少女が石を投げられた途端に被害者ヅラをする少

   年。

   一人の瀕死の少女が宗教的死生観により、死ぬことをのぞんでいる

   に、「なぜ助けないんだ!」と少女の車いすを曳いて勝手に病院を脱

   走。そして、さらに悪い結果を招く

プミ:これが朝のアニメの内容なのか…w

イコ:そう思っちゃいますよね

イコ:宗教を描くっていうのがすごいですよ

プミ:いま、同じことを書こうとしていたw

タキ:架空の宗教ですか?

イコ:チベット仏教がもとになっていると思われますが、架空です。

タキ:なるほど、ありがとうございます

イコ:いちばん視聴者が自分に引き比べて見やすいのは恋愛なんですが、これ

   がとくにうまくいかないんですよね。なにしろレントンは妄想ばかりで

   女の子とつきあってきたような少年なのでw

イコ:妄想が現実になったような容姿の女の子に対して、勝手なことばかり考

   えてしまうわけですよ

プミ:そんな妄想も描かれるんだw

イコ:いや、実は、妄想はそんなに描かれない。しかし、ものすごく妄想とか

   神聖視でこりかたまっている、っていうのが伝わってくるんですよ

プミ:ふむふむ。その方がリアリティがあるね。

イコ:そんな風に、世界のあらゆる刺激と戦っていくことにより、少年は成長

   していくんです

イコ:ロボットに乗って戦うというと、なんだかヒーローモノのように思っち

   ゃいますけど「おれはこの手で人を殺していたんだ」と、考えるシーン

   などは、ぞくっとしますね

   そういう健康的なアニメに対する、アンチテーゼのように思います

イコ:「エウレカセブン」は、突飛な設定ながらひとりの少年に「現実の錘」

   がくっついていて、その少年が境界(マージナル)をこえて成長してい

   くものだと見ることができます

プミ:主人公のレントンは作中で、悪を悪として認識はしているの?そういう

   「人を殺していたんだ」と考えるまでの間は…

イコ:してないんですよねぇ。ただ、ゲームの敵のようなとらえかただったと

   思います

プミ:ほうほう。その方が、現実に触れた時ショックが大きいような気がする

   ね。

イコ:その過程でグロ描写も出るんですけど、まぁ必然的だったとしか思えま

   せん

イコ:作品はどんどん暗みに下降していくので、序盤~中盤は少しつらいかも

   しれませんが、その先が描かれたところを評価したいと思います

イコ:製作者はきちんとプランをもって、レントンを成長させた。26話は親

   を越えて行くこと、異性や大人との関係を考え直すことを達成した回

   おれはこの回で、もう完全に泣きました

タキ:深い…

イコ:本当に、すごい回です、26話。物語の中盤なのに

イコ:そしてそこからは、より世界の中核にふれていくことになり、作品の最

   後では、重要な選択をすることになります

イコ:この作品は、セカイ系の文脈でくくられることが多いです。しかし、

   14,15歳の少年に、選択を強いることの重みを描けている作品は、

   そうそうないです

タキ:セカイ系にしては非常にリアリティがある気がします。

イコ:大人であるわれわれだからこそ、レントンの最後の選択の意味を、考え

   る必要があると思うんですよね

イコ:この作品を見た人が、あのラストを「ハッピーエンド」ととらえるか、

   そうじゃないととらえるか。多様な解釈ができます

プミ:気になります。とてもね。

タキ:これは今日からみるしかない。

イコ:ぜひとも

イコ:おれはあまりにも衝撃を受けて、50話見終わった次の瞬間に、1話か

   らまた見始めました

タキ:へええええ。

プミ:おーすごいw

イコ:毎日寝不足でしたよ

イコ:これが、ものすごく解釈の幅があって、1回目と2回目で、かなりちが

   う印象を受けたのもおぼえています

イコ:その後、エウレカ以上のアニメを求めて、いろんな作品に手を出しまし

   たが、いまだ出会えておりません

タキ:おおおお。ほんと期待!

プミ:じゃあ、まずほんとこれを見よう!毎日1話観よう

イコ:ぜひぜひどうぞ!

イコ:ちなみに製作者がテクノ好きで、ニューオーダーなどのバンドの曲名が

   サブタイに使われてたり、ほんと、子ども向けじゃないなぁww

タキ:エヴァンゲリオンが「世界の怖さ」を表現した作品だとすると、エウレ

   カは「怖い世界の生き方」を示したアニメ、になるんですかね?

イコ:あー、いいこと言いますねぇ

イコ:生き方の指針になるか、は分からないんですけどねw ただ、中学生に

   は見てほしいな。ぜひ見てほしい

プミ:朝やってたのなら、14歳くらいの子がもし観ていたらなんか、また僕ら

   とは違う、感じるものがあっただろうねえ。

イコ:感じるものがあると思います。でもおれたち大人も、何かしら学んだり

   考えたりすることができるものはあると思います

プミ:はい。そういう風に思います。

タキ:エヴァの「漠然とした世界の怖さ」ではなく、エウレカは「世界のここ

   が怖い」ってのをしっかり示していると、お話を聞いて思いました。

イコ:そうですね、問題をしっかり示しています。思春期がぶつかる「世界」

   を、50話かけて丁寧に表現している。

タキ:なるほどー。凄い納得がいきました。

イコ:はじめはその世界が、示されていないってのもポイントです

イコ:だからSFなのかな、と思います。現代世界じゃ、このような語り方はで

   きないですからね

タキ:そうですね。かなり見事な、アニメならではな表現方法だと思います。

イコ:そう、アニメならではです

タキ:思春期の心のありようを、思春期の人達向けに、それも映像で伝えよう

   としたら、もうその方法しかないですね。

プミ:僕はアニメは全然見ないからわからないのだけど、深夜にやっているや

   つはみんなこういう、真剣なものばかりなの?

イコ:それがちがうんですよねー

タキ:いえ、全然違いますよw

プミ:あ、そうなのw

プミ:二人ともアニメのことツイートしてるから、気になってたんだけど、ど

   んなのかなって、えっと、魔法少女…

イコ:「魔法少女まどか☆マギカ」は、いきなり見ないことをおすすめします

   www

プミ:あ、そうなん?ww

イコ:アニメの文脈がまずあって、それを壊していくっていう作品なので

タキ:そうですね。魔法少女史がわからないとです。

プミ:ふむーその文脈ってのがわからないんだよなあ

イコ:アニメの文脈・文法をまず知っておくほうがおもしろくなると思うんで

   すよ

タキ:僕も魔法少女ものにくわしくなかったのでイコさんの話を聞いて、なる

   ほど!と想いました。

イコ:おれもそんなに詳しくはないですけどねwwもともと趣味じゃなかった

   のでw>魔法少女

プミ:へー、本当に新しい世界だなあw まずはじゃあ、エウレカからね!

イコ:かわいい絵で、残酷なことをやる>魔法少女まどか

タキ:今の文化は、全部が借り物なんです。借り物をいかに組み合わせて、面

   白いものをつくるか。そこが勝負なんです。

イコ:そうですね。記号の世界ですよ

プミ:ふむふむ。

イコ:美少女ならこう描くっていう、王道の記号があるんですよ

   ツンデレとかヤンデレとか、だんだん複雑になってますけど、どれも類

   型ですよね

プミ:なんとなくわかるよ。

イコ:まずはエウレカを見てみてください。1日1話じゃがまんできなくなっ

   たら、ニヤリです

プミ:wwww

プミ:まず、そういった共通認識があって、それをいかに変容させるか、とい

   うことなのかな?

イコ:そうですね

プミ:その変容自体を、みんなは新しいと捉えるの? それとも、変容してら

   あ、とほくそ笑むの? どれでもない?

イコ:あんまり新しいものはないですねぇ

プミ:じゃあ、新しかったら評価されるの?

イコ:エヴァとかはまさに新しさが評価されたんだと思いますよ

イコ:エウレカは借り物のなかで、エヴァの先をいくことに成功したアニメだ

   と思います

   新しくはないけれど、より深部にもぐった

プミ:そっか、たしかエウレカをみたとき「エヴァみたいなやつなんだな」と

   思ったものな。そこは借り物的表層っていうか、そういうのをみている

   だけだったのだな。ふむふむ。

イコ:表現したいことがある。そのために記号を使った、ということです

タキ:そこで「どうして借り物を使うかのか」っていう話になるんですが、若

   い世代にとっては、漫画、アニメ、ゲームの世界の方が、現実をえがい

   たものよりリアルなんですよ。

   だから漫画、アニメ、ゲーム的表現を借りて、表現した方が、より実感

   を持っておもしろがられるんです

プミ:そういう認識って本当なの? 僕は30代だからあまりそういうのが実感

   できないけど、タキートンさんなんかは、周りとかそうなの?

タキ:そうですね。私がまさにそうです。

プミ:ほほーw

タキ:私たちにとっては「イラク戦争」も「エヴァの戦争」も同列なんです。

プミ:wwははー。タキートンさんは映画もみないものね

イコ:おれはドラマをみませんが、アニメはみます

イコ:タキートンさんほど、リアリティを感じてはいないけどねw

プミ:wwww

タキ:wwww

イコ:エウレカなんかの例外をのぞいては、アニメは完全にエンタメだと思っ

   てみてますよ

プミ:じゃあ、社会学者とか、そういうレベルでなくね。(一般の)僕らくら

   いかそれ以上の世代の人たちと、社会の認識っていうのかな、そういう

   ものを、(若い世代とが)共有するって、すごくむずかしいのかなとお

   もって、

プミ:特に上の世代→下の世代(※上の世代が若い世代を理解するのが、とい

   う意味)

タキ:そうですね。急速に変化してると思います。僕も今の高校生ぐらいの感

   性は大分わからないんだと思います。

プミ:そうか…

イコ:アニメ人口って、でもそんなに多くはないですよね

プミ:あ、そうなの?

イコ:若い世代と一口に言っても、深夜アニメを見てる大学生って、全体のど

   れくらいなんだろう。かなり少ないと思うんですが

プミ:あでも、ゲームとか漫画はもっと多いでしょ?

タキ:あ、でもアニメを見てない人は、ドラマとかテレビはみてるはずなん

  で。最近の若い人向けのドラマの傾向とかを見てると、非常に漫画的で

  すよね。

イコ:あ、それはわかる

イコ:「のだめカンタービレ」とか、かなり記号的なドラマだった

プミ:漫画が原作のものが多いものね

タキ:バンパイアがどうのこうのみたいの、とかですw

タキ:「ごくせん!」もかなり漫画的で、リアリティなんかゼロですよねw

プミ:しかし、高視聴率か。ふむふむ。なるほど。

プミ:東浩紀なんかは、世代をつなぐような存在になり得るのかな?

タキ:そうですねー、彼はそれを人生の目標にしてるみたいですね。

タキ:私もかれの著作を読んで、そういう文化の面白さに気づきました

プミ:彼は実践的な、社会とコミットするようなところまでいかないとって言

   ってるしね。ま、ぜんぜん僕は読んでないんだけどねw

イコ:すいません、ちょっとしばらく落ちますw

タキ:はいwお疲れ様ですw

プミ:おっと、またもどってくる?

イコ:もし2時近くでもやっていれば・・・

プミ:ふむー。どうだろうw

タキ:二時wwww

イコ:いちおう紹介は終わってますからねw

プミ:じゃあ、一回しめますw

プミ:本日は、みなさまありがとうございました!

イコ:いやー、ありがとうございました

プミ:とっても楽しかったし、みんなの文学観を他メディアの作品から、感じ

   取ることができました。やってよかったと思います。

イコ:おれも参加してよかったです

タキ:私も凄い楽しかったです。映画のこともエウレカのことも本当に勉強に

   なった。物語の見方がたくさん増えました。

プミ:いや、本当に、まったく未知の世界で、すばらしかったよw

   この企画、23回、続けていっても大丈夫かな?

タキ:僕はーどうでしょうw 初音ミクでも紹介しようかしらw

イコ:大丈夫だと思いますよ>続けて

プミ:分かりました。まあ別に誰がホストやってもいいのででは、今回のイベ

   ントに「第一回」とつけることにしますw

タキ:一回目にたずさわれて良かった!

プミ:ありがとう>タキートンさん

タキ:いえいえ、こちらこそ、こういう場を与えてくださいまして、大変感謝

   しています。

イコ:ではでは!

タキ:お疲れさまでした。

プミ:お疲れさまでしたー

 

※ここでイベントはひとまず終了しますが、まだまだ会話は続きます。2部「鼎(対)談 それぞれの文学観」もぜひご覧ください。