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創作合評(5月その2)

 日時:520

 ホスト: 小野寺

 サナギになれなかったイモムシ:芦尾 カヅヤ 21:00~22:00

 僕とご飯:神崎 裕子 22:00~23:00

 セカイの寄り道:イコぴょん 23:00~24:00

 参加者: 小野寺、イコ、牧村拓、小山内、6 、あんな 、カヅヤ、神崎、緑川

 

 小野寺: ホストの小野寺です。よろしくお願いします

牧村拓: よろしくお願いします

小野寺: 今日は、定例会のように感想は一挙に挙げていただきます

小野寺: サナギになれなかったイモムシ:芦尾 カヅヤ

小野寺: では、どうぞ

イコぴょん: サナギになれなかったイモムシ

・読めるのだが、何か足りない気持ちが残る。

 

・構成に目立った瑕はない。オーソドックスである。

1.イトムシの境遇

2.イモムシを助ける

3.助けたチョウの羽で飛ぶ

4.羽をかえし、イトムシは死ぬ

 

・よく書けているし構成を変える必要も感じないが、イトムシの純粋さに、説得力が足りないのではないか。(人間味の不足)

→チョウには、自分の羽を貸すことに、おそれはなかったのか。またイトムシが羽をかえすのを躊躇することはないのか。

→このあたりの葛藤が捨てられたことで、きわめて純粋な、気持ちのいい童話になっているが、躊躇した上で返す方が、よりイトムシの純粋さと、最後の死が引き立つと思う。(例:走れメロス)

牧村拓: 今回集まった作品の中でいわゆるもっとも「童話らしい」作品だと思う。ただ何がテーマかということは考える余地があると思われる

小野寺: この作品ははじめから終わりまで一本の太い線のような感情が貫かれていて非常に読みやすくうまいなあと感心いたしました。いかにも童話王道という印象です。

annaendo: 子供目線に気を使って書かれたのかな、と思いました。わかりやすいのですが、なんというかそれぞれのキャラが際立ってこない印象でした。羽の受け渡しの部分や最後の部分はもう少し細かく描かれてもいいのかな、と思いました。

神崎: 手助けしてその恩を受けるある意味類型的な童話の一つである。

小山内 : 暗い結末だがお話の筋は通っていた。

お話の筋は通っていたが、

その背後にある伝えたいこと、または読み取られるべきものはなんだろうと思った。

翅を得て飛ぶことができたが、それははかない夢だった?

小野寺: 以上、全員でよろしいでしょうか

小野寺: 今日は不参加者の感想はいただいておりません。

小山内 : 何かメッセージ性はあったでしょうか?

イコぴょん: メッセージは感じません

牧村拓: そこを僕もうまく捉えられず終いでした

小山内 : このお話をどう解釈したらいいのかわからなかったです。

イコぴょん: ただイトムシさんに寄り添う作者の目は感じられました

annaendo: 葉を落とす部分で少し感じられた

神崎: メッセージ性はわかりませんでした。見つけられない

牧村拓: 裏に何か透けて見えるというよりも話の核が2つあるようで

小山内 : どういう種類のものでしょう?>あんなさん

小山内 : わたしもやっぱり汲み取れなかった口なので……。ないならないでほかに読みようもあると思いますが。

小山内 : イコさんのおっしゃった、イトムシさんに寄り添うというのはその一つですね。

annaendo: 人と違うところがあっても誰にでも役割はある、みたいな?>小山内さん

小山内 : ああ、なるほど……。

牧村拓: メッセージ性があるとすれば、僕は青春(であるとか仮初の人生を謳歌できるようなもの)の希少さみたいなものを感じましたが

小山内 : 確かにそれはあるかもしれませんね。

イコぴょん: イトムシさんという不具者にとって羽はひとつの救いだったが、イトムシさんは最後まで身の丈通りで生をまっとうする。そのつつましさ、純粋性に、ある種の切なさと、果敢なさが宿っている。

メッセージ性が必要だとは思わなかった。「切なさ」「はかなさ」こういう気持ちが受け取れるように、描かれている。

小山内 : 「イトムシさん、かわいそうだね」という?>イコさん

牧村拓: メッセージ性、あるいは思想と言い換えてもいいかもしれませんが、そういったものは童話には必須要素ではないのでしょうか

小山内 : 必須ではないですね。

annaendo: ただ、そのことでイトムシの真っ直ぐさとか純粋さとか感じなかったですが

イコぴょん: そこまで偉そうな感じは受けないのです>小山内さん

小山内 : うんうん。

小野寺: イトムシの運命を描いた作品かと。

annaendo: 子供が儚さ、とか感じるのかな…

牧村拓: 感じられると思いますが、実感を伴って、となると難しそうですね

小山内 : でも、イコさんの解釈で行くと、がんばっても生まれ次第で無駄、という解釈が顔をのぞいてしまう気もします。

イコぴょん: 微妙なニュアンスなんだけど、メッセージ性を思想とは言いかえられないと思います。思想とは、その人のものの見方そのもの、なんだけど、メッセージというのは、「伝えたい!」という、能動的な読者への働きかけがあるように思う。

牧村拓: 無駄ではなかったのではないでしょうか

牧村拓: ああ、そうですね>イコさん 思想はあります

小山内 : たしかに、メッセージと、感情・感覚的に寄り添おうとする表現は違うと思います>イコさん

小山内 : イトムシは何も残さなかったけども、無駄ではなかった?>牧村さん

牧村拓: 無駄ではなかったと僕はその読みでも感じますよ。一人の蝶を助けられているし、自分も飛べている。それが思い出やつながりとなれれば、無駄ではないでしょう。人生ってそんなもん、という感じもします

小山内 : たしかにそういう解釈は可能ですね。カヅヤさんがそれを書きたかったとすると、わたしはその筋は弱いと感じますが。

イコぴょん: 「がんばっても生まれ次第で無駄」というのは、どうも感じられなくて。イトムシさんは、腹を減らすイモムシに対して、葉を渡す。無償の愛をためらわないキャラクターなんですよね。その愛に対して、ささやかな恩賞がある。

小山内 : また間違えた。もうしわけない。

annaendo: 私はやはりもっとメッセージ性があるものを(自分が母だったら)読ませたいと思う。最後死んじゃったところで悲しさしか残らないから。

牧村拓: 僕もそう読むには筋が弱いとは感じます、ただそう読める余地というものを僕は見てあげたい

小山内 : どのような恩賞でしょうか>イコさん

イコぴょん: 羽を貸してもらい、飛ぶ、という恩賞です

小山内 : 子供に読ませるには暗いですね>あんなさん

牧村拓: そうなんですよね、その悲しさしか残らない点がこの作風に反して子ども向けではない

小山内 : でもそれは、一時の夢だったし、蝶は飛び去ってしまった。これは恩賞なのだろうか。

イコぴょん: イトムシさんにとっては、十分に恩賞たるものだったのではないでしょうか

小山内 : 通じ合えた、というのはあるかもしれないけど…

牧村拓: それでも恩賞たりえると思いますよ>小山内さん

小野寺: 虫同士がそれぞれ足らない点を補い合い、助け合うというだけでも道徳性というメッセージは十分だと思いますが。

イコぴょん: われわれの目から見ると、イトムシさんが飛ぶシーンは、すげー切ないですけどね。

小山内 : 若い読者にとって、イトムシさんよかったね、とはならないような気がします。そういう意味では小学生とかは想定していないのかな>イコさん

annaendo: 私もどっちかっていうと一時の夢派ですね

annaendo: もともと飛べることが普通なわけですから

神崎: 一時の夢ですか。

小山内 : 『イトムシさんはもうただの小さいイモムシでした。』この一文からも、恩賞を与えたというより、一時の夢を与えたという印象を受けました。

イコぴょん: 「みにくいアヒルの子」の裏返しで、イトムシさんは結局、何にもなれなかった。でも、かれの純粋性だけは、きちんと最後まで担保されていた。イトムシさんの強さを感じました。イトムシさんの死には、美しさがあると思うな。

annaendo: 足らない体で一生懸命みんなのためになってたのに結局枯葉の下で死ぬって悲しいよ、ほんと

牧村拓: 一時の夢を与えられ、それが仮初のものだとわかっていても、なおよかったとイトムシは感じられたと思って読みました。それはイトムシにとって十分な救いではないでしょうか

小山内 : それが美しいとしたら、悲壮なかんじですね。

小山内 : それはそれでいいと思います。

小山内 : うん。

イコぴょん: うん、小山内さんと同じように、悲壮でも自分はいいと思います。

イコぴょん: きわだったメッセージはないけれど、作者の現実認識、思想が、きちんと表現されていると思うのです。

annaendo: 悲壮でもいいんですけど、イトムシが最後よかったと思って死んでいったのかな、っていうのがわかりづらかったからかもしれない

牧村拓: ああ、それはありますね>あんなさん 読み解くのにさらっといかないかもしれない

イコぴょん: あんなさんのおっしゃる通り、この作品は、まだまだ改善の余地がありますね

神崎: [2012520 21:31] annaendo:<<< 悲壮でもいいんですけど、イトムシが最後よかったと思って死んでいったのかな、っていうのがわかりづらかったからかもしれないそれが少しひっかかる。

小山内 : 翅を返してから、とくに思うところはない感じでしたね。わたしは、翅を返さないで逃げようかと思うのだと予感してしまったけど……。

イコぴょん: パンツの紐がゆるいのです。悲壮が、ぎゅっと絞られていない

イコぴょん: イトムシさんは、なんだか人間的ではないのです

イコぴょん: 虫なんだから当たり前wって言われたらあれだけど、固有名を与えられているんだから、やっぱ、「人間」的であるところは狙ってると思うんですよね

イコぴょん: 小山内さんのおっしゃるように、羽を返さず逃げることを、考えた方が、より、イトムシさんの悲壮はきわだつ

小山内 : わたしの期待というか、予感ですけどね。

牧村拓: それがこの作品に合致するかと言われれば僕は疑問ですけれどねえ

イコぴょん: 走れメロスみたいに、葛藤してほしい

小山内 : 葛藤の後に、善にころんで、静かに死んでいく。暗いなー。

イコぴょん: もっと暗くしてほしいw

小野寺: 童話って葛藤するんですかね

小山内 : 世の中そういうところもあろうけども。手に入れた飛行能力も、モドキですからね。まぁ、ある意味現代的だけども。

牧村拓: ほんの挿話程度ですが、している印象もあります。ただそれを僕はここに持ち込んでほしくない

annaendo: 個人的にはまだ小さい純粋な夢をもてる子供にわざわざ悲壮を持ってくる必要はないと思ってて。だって将来絶対体感するんだから、実生活で。

小山内 : それはそうですねw

イコぴょん: イトムシさんという存在に、「徹底」を感じるには、描写が足りない。

牧村拓: 悲壮自体はあってもいいんじゃないでしょうか、ごんぎつねを思い出します

イコぴょん: 実生活で体感かあ……「火垂るの墓」もなしですか……?

カヅヤ: (悲しい童話なら、小川未明にも多いですね。赤い蝋燭と人魚、とか。)

小野寺: 童話ってアンデルセンやグリムでもけっこう悲壮な死や残虐はありますよね

annaendo: すいません、子育て論に入っていきそうなんですw

小野寺: 死ぬまで踊る赤い靴

イコぴょん: 悲しさって、人生の想像の幅を広げると思う。大人は「希望」って言葉ばっかりを、子どものためを思って口にするけれど。

イコぴょん: イモムシって、悲しい生き物ですよ、ほんまに。

牧村拓: 子どもの可能性を信じる、というやつかもしれませんね

小野寺: 青い鳥は親に捨てられた子供

annaendo: 私はこの虫と自分を重ねて読んでましたよ、結構これ精神的にきますよ、マジで…

イコぴょん: <<< 悲しさって、人生の想像の幅を広げると思う。大人は「希望」って言葉ばっかりを、子どものためを思って口にするけれど。大人の言う希望が大嫌いでした

小山内 : 希望の青田刈りみたいな。搾取のスパイラルだな。

イコぴょん:

annaendo: 大人の言う希望を押しつけるつもりはないですけどねぇ

小野寺: ちょっとテーマに偏っている気がしますが…

イコぴょん: うん、あんなさんがそのつもりではないのは、よく分かっておりまする

小野寺: 他の切り口もお願いします

小山内 : 読者は子供を想定して書いているでしょうか?

牧村拓: 文章や単語の選び方は丁寧で好感が持てます、そこがもっとも童話らしいと感じさせる最大の点かなと

イコぴょん: 書いていると思いました。

牧村拓: 僕はそれは疑問ですね>小山内さん

イコぴょん: でも童話っていうより絵本ぽくて。これに絵がつくと楽しい。

牧村拓: 大人が童話めいたパッケージのものを与えられている印象が強い

小山内 : 文章はしっかりしていました。そこは好感を持ちました>牧村さん

annaendo: 絵本ぽいと思いました私も

小野寺: 文章はすごいですよ

小山内 : 絵本か……。

神崎: 絵本というのは何となくわかりますね

annaendo: 飛んでる時とかにめちゃくちゃ綺麗な絵がついてたら嬉しい(個人的希望)

小山内 : 土に還りました…… (完) みたいな……。

小山内 : 泣くんじゃないかなw

イコぴょん: グリム童話の残酷性を強調した、大人向け童話っていうのがあるけれど、残酷で悲壮なものになると、子ども向けとされない、って感じはあるのかな?

牧村拓: 一般的な風潮としてはあるでしょうね

annaendo: 土に還ってそこに木とか生えてくれたらまた違ってくる

小野寺: 大人向けというかもともとのものですよね

牧村拓: ああ、それでいいですね>あんなさん

イコぴょん: そう、もともとのものが、「大人向け」とされて、ふつうの文庫から出ていたりするのですね

牧村拓: そうするとまたテーマが浮かび上がってくるような気がする

小野寺: もともとは子供向けだったのが、いつの間にか考慮されたのですかね

カヅヤ: 残酷性が大人、というよりも、本来残酷な要素の多かった民話から、大人たちが「教育上よろしくない」と残酷要素を排除してきた結果が、昨今の「子供向け童話らしさ」になるのでしょうかね。

イコぴょん: でも自分は、切ないラストをむかえる「ごんぎつね」や、野坂の「凧になったお母さん」が、大人向け、とは思えなくて。

牧村拓: 僕はそういう認識です>カヅヤさん

小山内 : 百万回のネコも死んだままでしたね。

小野寺: でも昔の人間の私はけっこう加工されないものを読んでましたよ

小山内 : 悲しみを教えるというのも、相手が子供なら必要なのかな。

イコぴょん: [2012520 21:44] カヅヤ<<< 残酷性が大人、というよりも、本来残酷な要素の多かった民話から、大人たちが「教育上よろしくない」と残酷要素を排除してきた結果が、昨今の「子供向け童話らしさ」になるのでしょうかね。これはまじであると思います。時代が要求する教育の在り方にそぐわないとされる表現が、削られて、今のような「子ども向け」になるのです

イコぴょん: 大学で勉強したのを思い出した

神崎: ただ残酷性などは言い方は悪いけれど見せしめ的になり禁止に繋がる気もする

牧村拓: 表現を一部の人間のために削る必要はないというのは僕の持論ですが、色々大きなものと対立することになりそうだ

牧村拓: >神崎さん かちかち山なんかそうですかね

イコぴょん: 教育には「モデルケース」がありますからね

annaendo: ではこの話の「死」は悲壮感、儚さ、残酷性を伝えるための「死」なんですかね?

小野寺: 自分の感想からすると子供は残酷だから刺激的な作品は好きだと思うけどな

イコぴょん: 小野寺さん、大人はそういうのを子供に読ませたくない、ってことですw

牧村拓: 残酷性を伝えているとは思わないですね、ただそのほかの要素は十分にあるとは思う

6: (遅くなりました。すいません。)

小野寺: 6さん感想お願いします

小山内 : 結局、そこに作者の厭世観が滲んでいるようで、童話として、評価できなかったです>あんなさん。

小山内 : こんばんは!

イコぴょん: 「子ども向け」じゃない気がするっていう感覚は、「すりこみ」も多少はあると思いますね

小野寺: あんなさん、私はそうおもいましたけどね

イコぴょん: なんかすりこまれている、というと、イヤーな感じですけど……w

6: (こんばんは、小野寺さん、ちょっと流れについていけていないので、話せそうになったら入らせてもらいます)

小野寺: いや、感想は上に個別で書いてあるので、いつでもどうぞ。

小野寺: 全体の感想です

小野寺: では、時間オーバーしてますのでそろそろいったん〆ようかと思います

小野寺: よろしいでしょうか

イコぴょん: 了解です

小山内 : お願いします。

annaendo: はい。

小野寺: では22:00から神崎さんの作品になります。

小野寺: では定刻になりましたので、神崎裕子さん「僕とご飯」の感想をお願いします

 イコぴょん: 僕とご飯

・一読、妙に惹かれるものがあった。

 

・構成をどうとらえるべきか

1→僕、墓、お母さんの関係の提示(序)

a→墓の主張(破?)

8→その後(急)

 

→1、8(数字)は同じ書き方、a(ローマ字)だけ書き方が変わり、象徴的、幻想的である。

 

・書き込みが足りないが、この書き込みの足りなさが、逆にいい味を出しているようにも思う。よく尖ったナイフのような雰囲気である。

 

・童話のやさしい口調を、裏返して使ったような、露悪趣味の強い意地悪な作品。これはこれでアリだと思うが、童話ではない。

 牧村拓: 綺麗な話であるとはおもった。ただ童話という枠組みで見るとかなりひっかかる。全体を通して、何か核となるものが浮かび上がってこない印象

 小山内 : 墓。死んでしまったもの。普通に考えると父親。道徳の墓。なぜ父親なのか。

憎まれて殺されたから、父親ではないかも。そうした規範が時代に憎まれたのか。不明。豚は土にかえったという表現は、伝わってこなかった。

 annaendo: とにかく不気味でしたよ。でも思い返すと子供の時に読んだ不気味な作品ってすごいインパクトあるからそういう意味ではいいのか。どうなのか。

 小野寺: 童話の新境地かと思いました。1人称の童話って斬新かもしれない。

 カヅヤ: 非常に暗示的な要素が多く、「読み解きたい!」という欲求にかられ、ワクワクするのですが、読み解けずに頭を抱えます。

1→a→8の意味は?

リンゴや悪魔といったモチーフからは、旧約聖書のイメージが浮かび上がるけれど、その解釈だとうまく咀嚼できない。

リンゴ→知恵の実?

本→知恵? でも本を与えるのは母。

生き物を殺しちゃいけない→ベジタリアン?かと思うけど、食べちゃいけないのはリンゴ。

aの少年は「僕」なのか?豚とは何か?「太った悪魔」が豚?

とにかく謎だらけ。でもその謎が、非常に楽しいです。読み解く楽しみを味わう物語として、読みました。

 6: 短い小説の中に、時間が表現されていて良いと思いました。また単語のぶつかりあいにも奇妙な整合性を感じもしました。

 小山内 : 墓、母親、ごはんをどう解釈するか。根本的なことだけども。

 イコぴょん: 時間が表現されていましたね。自分もいいと思います>6さん

 annaendo: 豚ってなんですかね、すごいひっかかったんですよ、豚

 6: ただ、言葉が空中分解していると言うかイメージがじょじょに散漫に飛散して行く印象を持ちました。作者の狙いかもしれませんが、僕にとっては失敗に見えました。

 カヅヤ: どこから出てきたんでしょう豚…。

 牧村拓: 墓は何かしら善的なものの集合体の屍、母親は牧歌的・資本と牧歌の橋渡し、ごはんはどちらかといえば資本主義的なものとして読みました

 牧村拓: 僕はこれを資本主義とそれに類さないものの対立構造的に読みました

 小野寺: 確かに聖書的なボキャブラリーだ。白い墓も

 カヅヤ: 「白い墓」の発言が聖書っぽいですよね。

 小山内 : なるほど。そういう何かの象徴だとは思いましたが。おっしゃる通りかもしれない>牧村さん

 イコぴょん: 墓→正義や道徳の死。

お母さん→子どもと関わりをもちながら、大人に呑み込まれて死ぬ、僕にとっての危うい橋のような存在

僕→子どもから大人になる存在(墓と母親の死によって大人の世界に踏み込む)

 イコぴょん: 墓はすでに生者ではなく、僕にとってリアリティをもたないが、考える一助になる。

 牧村拓: とりあえず全体を通して比喩的なモチーフが多いのでそこが色々着眼点になりそう

 annaendo: 難しい作品ですね、解釈の幅が広い

牧村拓: 生と死が向かいあう構造も見えてきますね

 イコぴょん: こういう解釈できる、したくなる作品、好きだなあ

 牧村拓: 2軸おいてそれぞれにばっと分類するとわかりやすいかも

 カヅヤ: 牧村さんとイコさんの解釈でかなりしっくり。

 annaendo: 内容に切り込んで語るには読みが甘いな、自分

 牧村拓: 解釈の幅が広いということでは詩的な作品ともいえるかもしれませんね

 イコぴょん: 詩的ですね。言葉のひとつひとつが、ささくれだっている。

牧村拓: ただどこかに童話的なポイントを感じられて、それがこの作品の生命線なのかなと思いました

 イコぴょん: リンゴとか、赤ずきんちゃんを連想させますが

 イコぴょん: それだけに、意地が悪いように思えて

小山内 : 二軸というと、αと8は時系列的に順列なのか並列なのかっていう?>牧村さん

 6: 童話的なものを担保している要素はこの作品においては何だろうか。

 イコぴょん: 小道具と、語り口ではないでしょうか>6さん

牧村拓: >小山内さん 僕が言いたかったのはx=資本・聖書 y=生・死というものです

6: 語り口はそう感じます。童話と言うのはやはり小道具も重要なのでしょうか。

小山内 : なるほど>牧村さん

牧村拓: 小道具は重要だと感じますね、ベンゼン環なんて童話に出ないでしょう

イコぴょん: ただその小道具と、語り口は、結局、内容の露悪的な感じで、裏切られている(童話的でなくなっている)と思うんですよね

牧村拓: そのギャップがこの作品の肝ではないかなあと思います

6: 語り方はやさしいのに、内容は毒をはいているということか。

 牧村拓: そういう点では神崎さんらしいかもしれないw

 イコぴょん: そうですね、カヅヤさんの作品を自分は子ども向けの童話として見たけれども、これは明らかに童話からはみ出していると思う

 カヅヤ: 童話風小説、として読みました。

 annaendo: 童話風だったらめっちゃ面白い作品だと思う

 イコぴょん: 童話的な小道具と語り口を使った、思考実験の一種のような

 6: <都会>という場所を「遠く」にしておいたことにより、この場所がどこか世俗から離れた場所であることを暗示させている。

 イコぴょん: 羊飼ってますしね

 牧村拓: そうそう、そういう風な解釈を積み上げた先にこの物語の核があると思いますよ、僕は

 小野寺: やはりベジタリアンだと思いますね

 6: チーズは?

 小野寺: そうでない人間は豚だと

 小野寺: チーズはあまり好きでないとあります

 牧村拓: 資本主義的なにおいを帯びた、そちらへと捧げる供物的な

 牧村拓: 違う、それはどちらかといえばリンゴだ

 小野寺: 最初に生き物を殺してはいけないとあり、これ二回ありますから

牧村: 聖書的な象徴となりうるものですかねえ<チーズ

 カヅヤ: 羊飼ってたら羊食べそうですよね。でも生き物は殺しちゃだめで、りんごは食べちゃだめで・・・。

 annaendo: 嫌いでもチーズ食べちゃってるからなぁ

 牧村拓: 自分もそれまでおぼろげに嫌悪していた資本主義社会に染まろうという過程ではないでしょうか

 小野寺: 林檎は都会への売り物だからだめなんか…

 カヅヤ: でも、りんご食べてる人の方が悪魔なんですよね。

 イコぴょん: 解釈したくなるかどうかが、この作品の評価の分かれ目になるかな

 牧村拓: 資本主義的な存在=悪魔=豚 かな?と読みました

 牧村拓: 聖書的に読むということを僕は残念ながらできなかったので・・・

 小野寺: このメッセージは削除されました

 小山内 : なにがあるいは誰が堕落したのかというのも、検討の余地があるのかな。

 小野寺: りんごも生き物にはいるなら何も食えないな

 イコぴょん: 墓は父性に見えますね

 牧村拓: そこに突っ込むならば僕は資本主義社会に飲まれつつある原始的社会の敗北・堕落と読みますねえ

 カヅヤ: 母親の死は、「少年の変化のきっかけ」にはなっているけれど、なぜ死んだ?というのも気になります。

 牧村拓: そこまでいくと浮かび上がるものは弱いですが

 カヅヤ: 母は、りんごを食べたことはなかったのか?

 牧村拓: 食べていたといえると思います

 牧村拓: だから死んだ

 小野寺: 最期の痩せた悪魔とは、りんごとチーズを食べたからだ!

 牧村拓: そうでしょうねえ、でなければ僕の読みが根底から覆ってしまう

 牧村拓: <<< そこに突っ込むならば僕は資本主義社会に飲まれつつある原始的社会の敗北・堕落と読みますねえうーん。確かにそういう解釈は可能かなと思うのですが、これは童話なんだという大前提が揺らいでいく気がします。

 牧村拓: その大前提だって僕は怪しいと思っていますよ。作者がそういう点に立っているとは思えない

 イコぴょん: 自分はノット童話派です

 カヅヤ: お母さんが買ってくる「本」には、意味があると思いますか?

 小山内 : それがないとすると、なぞなぞみたいに輪郭がぼやけてしまう。

 イコぴょん: 童話じゃないけど、童話的なモノを使っているので、童話特集の幅の広さとして、アリだと受け取っております……

 6: お墓はしごくまっとうなことを言っているし、この少年?の生活も特に残酷なことをして暮らしているわけでないのに、語りのところどころに毒が付着して会って、それが「8」で何かべっとりと塗られたようで不気味です。8がなんかいきなりすごい悲しい。

 カヅヤ: そもそも1→a→8がさっぱり分からない…。

 牧村拓: 僕が意味があると思います。リンゴとは逆の矢印を持つモチーフとして>カヅヤさん

 牧村拓: その毒というのが作者の思想がにじみ出ている部分ではないでしょうか

 annaendo: 童話をぶっ壊そうとしたテロかもしれない

 小野寺: まるで死海文書を読み解くようだ

 6: テロかぁ

 牧村拓: >小山内さん なぞなぞみたいに、というのは僕も感じます。ベースのないバンドみたい

 イコぴょん: 好評価だな、これは。

 カヅヤ: 逆の矢印、というのは、牧歌的であれ、というような認識でしょうか>牧村さん

 6: いやぁ、僕はあまり評価しません。

 イコぴょん: みんながこうして解釈合戦してる事実が、「解釈してあげる」じゃなくて「解釈したい」という欲求にもとづいているなら、これは作品にとって幸せなことです

 牧村拓: >カヅヤさん リンゴが牧歌→資本にわたるもので 本はその逆で資本から牧歌に向かう力のあるものかなと

 イコぴょん: ぜひ否定的な意見を聞きたいです!>6さん

 6: 書き足りなさは良い方向に働いているかもしれないけど、ひとつひとつの文章がなんかちぐはぐな感じがします。

 牧村拓: でもこの解釈だけからは何も生まれない作品だとも思いますよ。その先に何かあるんじゃないかと思わせられる

 カヅヤ: なるほどです>牧村さん  

 annaendo: これが小説だったらありなんですよ、童話となると解釈がこんな必要なのもどうかと思いますよ。

 小山内 : 伝えるということではなく、なぞなぞで当てさせようというのかな。意味合を追いきれなかったという以上に、童話的ではないかな……。>牧村さん

 牧村拓: んん、そういう点で僕はこの作品に対して否定的ですけれどね>あんなさん。小山内さん

 イコぴょん: 解釈がないと楽しめない。子どもが感じられない、ってことですね

 カヅヤ: 自分は、解釈が楽しくて、それが繋がった先にテーマが見えるんじゃないか…とワクワクしながら読んでいます。

 カヅヤ: 童話かどうかは、やはり「童話風小説」として読んでしまったので、「童話」ではないけど、特集としてはアリだと思いました。

 牧村拓: そうですね、だから僕は解釈の先にあるものに目を向けるべきだと思います。けれどあくまで童話としてみるとそれは既に失敗ではないかとも思うのです>イコさん

 イコぴょん: 自分は童話に対するテロ、というと言いすぎかもしれないけど、これはこれで、カヅヤさんの「童話風小説」という意見と似ていて、アリだと思うなあ。

 小野寺: 一概に否定できないと思います。何かしらの整合性がありますから

 イコぴょん: 童話風小説、としてはOK、童話としては失敗というニュアンスの意見が多いかな?

 小野寺: 童話とは思えないですね

 牧村拓: 同じくです

 牧村拓: ある点においては6さん以上の飛び道具的な作品かもしれない

 小野寺: 私どもにはみえないものが神崎さんには見えている感じがします

 イコぴょん: 逆にみんなが物足りなかったところはないんでしょうか?

6さんはちぐはぐ、とおっしゃったけれども。

 6: なんか性急なたたみかけるような文章が飛躍していて、地に足がついていないような

 牧村拓: どうせこういう解釈を呼び起こすような小説にするならば、それらをもっと凝らしてほしかった。原材料のまま、ぼんぼんと置かれていっているような印象を受ける

 6: 気がしました。

 カヅヤ: 先に6さんがおっしゃっていた「分解してしまっている」というのは同感でした。

 カヅヤ: 物語としてある程度まとまった上で、「解釈解釈!」ってなっていたら、もっとよかったやも。

 6: 説明のなさはいいとおもうんだけど、時間を描くときも「日にち」をズバリ書くんじゃなくて

 6: 何かで時間を表現しても良かったかもしれない。

 イコぴょん: 6さんと牧村さんの意見は、通じている気がします。地に足がついていない、というのは、背景がよく分からないことにもつながりますね。それって原材料のまま、ぼんぼん置かれていることからくるだろう。

 6: 原材料のままというのはすごいあてはまる。

 6: 包装がない。

 イコぴょん: 時間の経過をにおわせる、具体的な書き方があるべきですね。

 6: さいしょに墓にそなえた花が枯れて、読者は時間の経過を知るとか

 6: そんなのがあってもよかったのかも

 牧村拓: それはいい描写だと思いますね>6さん

 イコぴょん: チーズやりんごの蓄えが家になくなる、とかもおもしろいかもしれない

 6: それもいいですね。

 6: 固有名詞もなんだか「ぶつ」をどかんとおかれた印象がある。

 6: それでなければいけなかったほどの絶対性が

 6: ない。

 6: けれどそのどかんとおかれたことに読者はすごい戸惑いを感じて、

 6: また別の不気味さを呼ぶことができている。

 annaendo: 白いお墓ってのがもうつっかえちゃいました。白い?イメージがなかったです。白いお墓。

 牧村拓: その印象がこの作品のちぐはぐさなのかな、と思わされました

 イコぴょん: そうなんですよね、だから一概に否定できなくて。>不気味さ

 イコぴょん: 白いお墓って、めっちゃ幻想的ですよね

 牧村拓: 海外のお墓とか割と白っぽい印象ですが、土葬的なことをするところでは

 イコぴょん: aは抽象世界の表現だと思う

 イコぴょん: 1と8は、まだしも現実的である

牧村拓: まあお墓は喋りませんからねえ

 イコぴょん: 1で出てくるお墓には、文字が刻まれているだけなんですよ

 小山内 : あらゆるものに意味を持たせてしまうと、ぼやけた話になってしまうように思う。解釈の余地が多いというのは、それはいいことだろうか。

 イコぴょん: でもaでは喋っている

 小山内 : 構成についても、墓についても食べ物についても、全体としてうまく作用しているのかどうか

 牧村拓: 僕はいいことだとは思えません>小山内さん けれどこの作品の短さがそれを語らせているような気がします

 annaendo: 解釈する気になれないというのは問題だけど、解釈を強要してくる作品は苦手だなぁ

 6: 僕は解釈はしようとは思いませんでした。ただ小説として、そういうものだと思って読みました。

 イコぴょん: 読者の欲求にもとづく解釈に幅が出ることはいいことだと思う。

 牧村拓: そういうものだと思って読む。って実は難しいことじゃないですかね

 小山内 : 聖書の解釈も多様すぎて、良くも悪くも読めてしまう。同じくらいにぼやかしたものをいまてにとって、優れた作品、創作ワナビーの目指すところといえるかどうか、根本的なところなんですけど、疑問に思ってしまいます。

 6: 言葉が少なすぎるので、解釈の根拠をつくっていくことができないと僕の場合はあきらめてしまいました。答えのない問題として読むと言うスタンスでした。

 小山内 : 一本調子なのも創作としては貧しいのでしょうけど。

 牧村拓: それは的を射ている気がしますね>6さん けれどこれをそのまま読んでも僕は楽しくも面白くもない

 小山内 : そうなんですよね…。

 小野寺: 8の部分、書き足りていないですね

 小野寺: 都会になぜ行くのか。

 6: 小説は読者の数だけ作品があると言うので、必ずしも僕とまっきーのどちらが正しいということはないはずです。自分が面白いように読めばいいと思います。なんか冷たい言い方だけど、そうとしか言えないなぁ

 牧村拓: 確かになぜという動機づけはもっと欲しいですね

 イコぴょん: まあ、意地悪なんだよなあ、結局。解釈できるいくつもの事象を投げ出すんだけど、そこに説得力をもたせる具体的なモノは、何もなくて。

 小山内 : 意味合を一つ一つ手放さないで、伏線を一本一本引きずりながら、物語を書いて、で、脈絡をつなげていく、そうしたものを期待してしまいます。

 小野寺: では時間もオーバーしてしまいましたのでそろそろ〆ようと思いますがどうでしょうか

 牧村拓: 構いません

 イコぴょん: 神崎さんは、もちろんここで安住する人ではないと思うけれど、意味を手放さず脈絡をつなげて書いた作品を出してもらって、あえてこっちに戻っていく、というなら、応援したい

 6: 神崎さんの次回作には、期待

 緑川: そもそもご飯が、なぜ、りんごとチーズだけなのかと

 神崎: ありがとうございます。ログ保存します

 緑川: すいません、乱入っぽかったかな

 6: そんなことないですよ!

 小野寺: では23時よりイコさんの作品に移ります。お疲れ様でした。

 イコぴょん: そういうところも、なんか、解釈を要求してる感じなんですよね>りんごとチーズ

 小山内 : 興味をひくというよりも、試されているように感じます。

 緑川: 物足りなかったかな・・・

 神崎: もっと長くできればよかったと痛感しました。

 annaendo: 今回の3作の中で一番自分の思う童謡の定義に当てはまっていた。読んでいて次に何が起こるか、わくわく感があったし、不思議な空気感みたいなものが作品全体に漂っていて、自分が子供だったら文字を読むのが楽しいと思えそう。大きなテーマみたいなものは特に感じられなかったけど、この作品に関してはその方がいいような気がした。細部がよく描かれているためだと思う。

 annaendo: ではーまた!

 小野寺: おやすみなさい

 カヅヤ: お疲れ様でした。

 小野寺: ではイコさんの「セカイの寄り道」の感想お願いします

 イコぴょん: あんなさんあざーっす!

 小山内 : 子供が迷い込んだのは職場を連想させる象徴の世界だと思う。

冒険の物語としても読めるが、その場合は脈絡がない。

脈絡はないのだが、子供の喜びそうな隠語めいたセリフなどがあり、配慮がある。

本筋についての解釈の余地は少ないんじゃないか。責務をうしなうと、能力それ自体もあてのないものになる。最後の天気予報が雨を告げているのはちょっと気になった。

 小野寺: この作品が童話とは思えず児童文学に思えた。

私自身児童文学を児童のころから敬遠していた。童話は読んだけど小説はジュニア版の漱石や芥川を読んでいたため理解しがたい空間に思えた。

そしてこの作品には児童文学特有の子供にしかとらえられないような空間が確かに存在していて好感を持った。けれどもそこに意味や教訓を見出すことはできなかった。大人にはわからない面白みもあるのかもしれない。

 神崎: 荷物はなにを背負わされたのか。それがとても気になる。作品全体の雰囲気は好きだ。

 カヅヤ: 不条理絵を見るような、不可思議な印象。

いい意味で、ふわふわしていて、気持ち良かったです。

ただ、「何をのぞむ?」のところから、急に道徳的要素が強くなったように感じました。

それ以前から続いているテーマを、私が読み取れていないだけかもしれないのですが、ある点から急にテーマらしきものが浮かんできて、少し違和感が。

道徳的な要素に重きを置くなら、道徳と他の部分とがもっとうまく溶け合っていれば、と思いました。

 小山内 : 子供一流の隠語はよかったと思います。

 小山内 : そうやって読者を限定させない配慮はそこかしこに感じられた。

 小山内 : 仮に、私の読み取った、職場に迷い込んだ、という解釈が適当なら、ちょっとこれまた厭世的ではある。それでも、荷物を背負い、省みて歩き出すので、印象はいい。

 小野寺: あれ、緑川さん6さん牧村さんはどうしたのかな

 6: イコさんのこれまで読んだ作品の中でもっとも面白く読みました。『月極駐車場』などの概念が小説の中で良い働きをしていると思いました。

 6: ズバアン、

 6: っていう風の描写も好きです。

  小野寺: ではフリートークに移ります

 小野寺: どうぞ

 小山内 : これまでの作品とは違って、読者を限定しない配慮があったと思いました。どうでしょう?

 小野寺: 同感です

 神崎: 確かにそれはかんじました>小山内さん

 小野寺: ただ上にも書いたように私にはよくわからない世界でした

 小山内 : 迷い込んだ世界をどう解釈するかということですね。

 小野寺: もうしわけない。自然な子供ではなかったので。

 6: 擬態語・擬音語を多用しているんだけど、使い方が凄く上手いと思う。

 小野寺: これ、童話ではなくて児童文学ですよね

小山内 : 迷い込んだ世界というのは、一つは巨人とあとを追う光、次はトマト投げ、それから順路とショウヨの話だけども、それぞれどう解釈されたか。

 小山内 : 私は素直に、職場、社会生活を連想しました。

 神崎: 順路とショウヨは会社のようなものを

 小山内 : それともたんに、子供の冒険なのか。それもありかな……

 カヅヤ: 「ショウヨ」からは、仕事、職場を連想するのですが、その他のシーンを、その連想とうまく結び付けられず。

 小山内 : トマト投げに、目的のわからないルーチンワークだとか。

 緑川: 封筒もそうかな、社会人みたいな

 神崎: でもそのトマト投げわざわざ金払っているんですよね

 緑川: 縁日のイメージかな、それは

 カヅヤ: 「やあ、まじめですよ」ってセリフは、社会人くささを感じます。

 6: そうなんだよなぁ、普通童話に使いづらい具体的な金額とか月極とか賞与とかを

 6: 盛り込んでいるのに童話らしさをちゃんと出しているのがすごい。

 カヅヤ: 5千円は、現実のカズキではなく、「新しい世界」のカズキの持ち物の中に入っていたのだろうか…。

 小山内 : たしかに。お金を払っていることを考えると、何かの授業料、講習という解釈はできるかな。ちょっとくるしいか。

 小野寺: でも賞与や職場に結び付けたくないな

 緑川: まあ、ほんとに童話だとすると、それにしては、カズキ君の孤独な営みという感じがします

 緑川: 具体的にかかわってくる相手がいないので

 緑川: 冒険だとしても、ドラマチックではないかなと

 小山内 : うん、カズキ君の脈絡のない冒険になる気がします。ほかに解釈があれば、それを検討したいのだけども。

 カヅヤ: 職場というよりも、人生の縮図のようなイメージを持ちました。

 緑川: 悪役もいないし、味方もいない

 カヅヤ: 全体を見ると、それを体験して現実世界に変えることで、明確な成長ではないけれど、カズキの内面になにがしかの変化が生じている話なのかなと。

 小山内 : 最後は自分の力だったけど、マヨリ君やいとこのお兄さんは、ある程度までは助けてくれた、助けになった、と思われます。

 緑川: 内面的なドラマ・・・、う~ん

 緑川: 追随的なポジションかな、それらは

 緑川: 彼らは

 小山内 : シナリオを書いたことがあると、ドラマとは葛藤、とすぐに浮かんでしまいます。ドラマを多義的に解釈するのは可能だと思うけど、内面的なドラマだとすると、どのような理解になるんでしょう?

 緑川: あ、いえ、カズヤさんが: 内面になにがしかの変化が生じている、って言われたので

 小山内 : なるほど……

 緑川: そう読むと、どうなるのかなと

 小野寺: 子供って一貫的な内面ってないと思うんですよ

 緑川: ちょっと教訓ぽいのかな >小野寺さん

 小野寺: そのときどきのものにすぐに引き寄せられてしまう

 緑川: ふむふむ

 小野寺: そういう部分をうまく掬いあげているように思うのですけどね

 緑川: はい、だとしたら、どういうことになるんでしょ >小野寺さん

 小山内 : それも一つの配慮かもしれません。

 小山内 : ですね^^

 小野寺: 黒い人間って影だと思うんです

 小野寺: またトマトを見てトマト投げを想像する

 小野寺: 具体的なモノから空想的なものへと飛躍している。そう読みました

 緑川: まあつまり、子どもが子供らしく描けていると

 緑川: いうことですかね

 カヅヤ: 自分の、ムリヤリな解釈だと、必死に歩いている、歩き疲れる、というのが、そのまま「生きる」という状態かと思い

 カヅヤ: トマト投げ→お金を払って娯楽を享受するが面白くなく

 カヅヤ: <<< 不条理絵を見るような、不可思議な印象。

カヅヤさんの意見に僕も同じ感想をもって、なんかふわしているはずの世界なのに、気持ち悪さが文体から感じてくる。でも説得力のある気持ち悪さだと感じる。

 カヅヤ: ショウヨとして、何でも手に入るけれど、それで人生が楽しくなるというものでもなく

 カヅヤ: いちばん大切なものは何だろうな?という問いかけのようなものを感じました。

: 黒い人間僕はスーツをきた人を連想しました

 6: そっか、この小説って生きることの価値を考える小説なのか。

 カヅヤ: 「荷物が埋めてくれるかもしれない」というような描写で特に顕著に

 6: 意味深いな。

 緑川: そこが、教訓ぽい

 小山内 : カヅヤさんのおっしゃっていることには説得力がありますね。たしかに、職場に限定されているのではないかもしれません。

 カヅヤ: あ、「何を望む?」以降、完全にそう読んでしまっていたので、「急に道徳的になった気がする」と述べたのも、その読みからでした。

 イコぴょん: (みんなの読みがおもしろすぎて吐きそう)

 緑川: どうせなら、すごい手足と頭を手に入れて

 緑川: 世界をまたにかけて活躍する子供を見たかった

 緑川: 無茶読みか・・・

 小野寺: そうかな。子供のとき私は影と対話したことありますよ

 カヅヤ: 自分も、黒い人間は影と思って読みました。

 6: 影との対話?

 小野寺: 小学生の低学年などは家までの帰り道いろいろ空想しました。

 小山内 : 影がなにを象徴しているのか、ということになるのかな。

 小野寺: とくに象徴はないと思いますけどね

 緑川: やっぱり、黙々とした感じかな

 緑川: いろんな現象が起きるけど、カズキ本人は、はみ出してないというか

 小山内 : うーん、突然影と対話を始めるというのは、たしかに子供の世界ではありかもしれませんが、意図としては説得力が弱い気がします。

 小山内 : 仕事振りを評価する存在であるのはみなさん同意かな?

 小野寺: この作品の解釈は神崎作品以上に難しく思います

 神崎: 同意です>小山内さん

 カヅヤ: 自分は最初の読み方で頭が固まってしまって、他の読み方ができなかったです…。>小野寺さん

 小山内 : カズキの影であるとしても、そういう行動はしているはずだけど。

 緑川: 仕事振りというか、たしかに、読んでて、わくわく感はあまりなかったです

 神崎: 看板のそちらあちらってのはわけのわからない作業かなと思いまして、それが仕事をあらわしているように。

 6: 仕事ぶりを評価する存在というのが僕には良く判らないんですが

 小野寺: もし小山内さんの言われるように仕事ぶりが投影されているなら私としてはあまり評価できない作品になってしまいます

 6: だれか教えてくれませんか。

 小野寺: 黒い人間が上司というわけです

 カヅヤ: とくにそういう存在だとは感じませんでした。

 小野寺: いやだよ、そんな童話

 イコぴょん: www

 小山内 : たとえば、「あんだけ休みなく迷路をがんばり続つづて」という表現があります。これを見通しのない仕事に取り組んで、とか。

 小山内 : いや、イコさんがどこまで意図したかは措いておいてでも、どう読めるかということなんですが。

 6: ああ、何となく分かってきました。

 カヅヤ: 生きるというのが既にそういう状態だと思うので、ただ漠然と「こんなに頑張ったんだ」という意味だと思いました。仕事に限定されず。

 小野寺: 生きるという言葉が悪いね

 小山内 : それはたしかに一つあります>カヅヤさん

 カヅヤ: それこそ勉強でも恋愛でもなんでも、努力全般。

 小野寺: 子供が使う言葉じゃない

 緑川: もっと、子供らしく、はっちゃけよう、カズキ君と思いつつ

 緑川: 読んでました

 小山内 : まぁ子供が大きくなるのではなく小さくなって、仕事の世界に迷い込むというのが、不思議の国のアリスよろしく、イマジネーションの世界というか、童話の部分だとおもうのですが。

 6: 緑川さんはこの作品に対しては、否定的な意見をお持ちでしょうか。もしそうなら聞きたいなぁと思います。

小野寺: 3まではわりに児童文学なんですけどね

 緑川: あ、否定とかではなく、そう思っただけで

 緑川: >6さん

 カヅヤ: 自分は、この童話のメインは「何をのぞむ?」以後に露骨に書かれているように感じたのですが、ほかの方はどうですか。

6: あ、なるほど。>緑川さん

緑川: やっぱり、そこなのかな >カズヤさん

カヅヤ: メイン、というか、作者のメッセージのような。

緑川: はい

小野寺: それ、よくない方向に踏み出したと思います。カヅヤさん。

6: 僕はぜんぜんいまみんなが話されていることには気づけていなかったです。わりとひとつひとつのエピソードを切り離して読んでいました。>カヅヤさん

カヅヤ: !?>小野寺さん

小野寺: いや、何をのぞむ以降です

[2012/05/20 23:49:47] 6: 「作者からのメッセージ」という小説が伝達手段で語られると言うのに抵抗があるということですか、小野寺さん?

小野寺: まさにそうですね

カヅヤ: あ、意味がわかりました。すみません。

小野寺: そもそもこの作品、前半に伏線を感じないですよ

カヅヤ: 急にメッセージ性が出てくる感じがします。

緑川: 目立ちますね

6: 伏線とか僕はあんまり大事とは考えないけどなぁ。流れがそのまま読めるものであればいいのではないかと思うけど。

カヅヤ: (さきほど、トマト→娯楽 みたいに述べましたが、小山内さんの読みに触発されての発想で、初読時は「三つの選択」以降からしか主題は見えてなかったです)

緑川: 小山内さんの読みでいくと、トマトも仕事かと私は思いました

小野寺: れを取り出してみると、ぱあっ、と、虹がはじけるように青空に光があらわれました。

光は形をもって、カズキの目の前で、いくつもおどりだしたのです。

ドラゴンの形になりました。

ゴム銃の形になりました。

友だちのマヨリくんの形になりました。

いとこのお兄さんの形になりました

緑川: 周りは上手くやってるのに、自分は置いていかれてるみたいな感覚

6: でもトマトはお金を払う行為じゃないですか。パチンコみたいなものでは。

小山内 : 世界の寄り道というタイトルを考えると、小野寺さんのおっしゃることもわかります。それでもあえて、仕事か人生かを垣間見たと解釈したいかな。辻褄は通るのだし。

小野寺: この箇所では非常に空想的な子供です

6: 成長すると言うことではないですかね。

小山内 : 他者、道具の手助けがどのように役立つのか、という暗喩とも取れます>小野寺さん

6: 人は「寄り道」をして、本当に大切なものを知る的な物語に読めますね。

小野寺: ということはイコさんが現実に汚れてしまっているということか

カヅヤ: 全体を通してみると「荷物を選ぶ」という選択をするという行為が、成長のように思います。

カヅヤ: また、その荷物が「軽くなった」というのは、それを持ち運ぶ力がカズキに備わったからだと。

6: 荷物って言うのをはじめて読んだ時から「家族」というふうによんだんですよ。もしくは、大切な人。

緑川: なるほど

緑川: しかし、子供の発想だろうか

小山内 : 責任ね。

小山内 : 暗に諭すということじゃないかな。>緑川さん

緑川: う~ん

小野寺: でもこういう話って教訓的な話はあまりないのが普通に思える

緑川: 私が子供なんだろうか・・・

小山内 : 冒険譚ともよめるような配慮、そこがうまく効いたと、私は思いたいけども。

6: 一時的に成長するんだけど、さいごに目をさましたときやっぱり子供に返る。けどそれは一朝一夕でひとは大人になれないと言うことが良く描けているのではないかとおもう。

緑川: カズキにもっと活躍して欲しかったのですが

緑川: それこそ、童話の少年のように

小野寺: 空想的であり悪ガキであり読書していた私には解釈が難しい

カヅヤ: 「こういう話」→不条理な冒険譚でしょうか>小野寺さん

カヅヤ: 自分も、不条理なら不条理な冒険話として楽しめるほうがスッキリします。ただ、そう読むには後半がやはり気になり。やはり前半部と後半部の接続に違和感があります。..

6: カズキはただ、無邪気なだけではなくて、この小説の中では切実な現実的場面にぶちあたっているんですね。だから思うように遊ぶことができない。

小野寺: いえ、ごくごくありふれた児童文学です

カヅヤ: あ、なるほどです。

小野寺: あ、つい熱中してしまいましたが時間になりました

6: (小野寺さんって悪ガキっぽい過去をお持ちっていうのなんだか納得できる)

小野寺: トマト投げたら5000円は納得する

小野寺: トマトつぶれるから

緑川: 思うように遊ぶことができない・・・、大人視点で書かれた子供だからかも

6: そうですね>緑川さん

小野寺: 小山内さん。いったん〆てもいいですか

イコぴょん: ありがとうございました。みなさんの解釈を聞き、山積みしている問題点に気がついたとともに、でも別にそれ問題点じゃねーんじゃん? っていう複雑な感情にもなりました。

小山内 : はい。最後に。いい作品だと思います。作者の所在が私と違うということだけ。

6: 作者の所在?

小野寺: 私も3までは見事!と思いましたね

イコぴょん: 最後まで見事!と思わせられず残念

小山内 : どういうところから創作をしているかということ、そういう違いだけなように思いました。これは個別の作品お話ではなく、イコさんにたいする全体的な感想。

小野寺: ああ、なるほど

小山内 : 小野寺さんホストお疲れ様でした!

カヅヤ: お疲れ様でした。

神崎: お疲れ様です。

緑川: お疲れ様でした!

6: 小野寺さんお疲れ様です。

小野寺: すみません、時間の管理が難しいです

牧村拓: (ありゃ、終わってしまわれた。お疲れ様です!途中離席申し訳ない)

イコぴょん: おつかれさまでしたー

イコぴょん: 牧村さんの感想も聞きたい!

緑川: (まだ、2次会がありますよ、牧村さん)

小山内 : 今日は緑川さんも小野寺さんも舌鋒がするどかったですね!

カヅヤ: (私も、できたら6さんから、イトムシの感想を頂きたいのですががががが) 

イコぴょん: ががががww

6: 僕もカヅヤさんに言いたいですね。

牧村拓: 送れていない分はあとでコメントページに残しておきますww

緑川: う~ん^^; >6さん

イコぴょん: いつも思うけど、合評、楽しいなー

緑川: ですね

緑川: 幼形成熟の話かなと

小山内 : よかった。今日のうちに枚数分仕上げて、あとは推敲にしようと思ったのですが十枚くらいしか書けなくて、これは平日にがんばるしかないかと思っていたところでした。

緑川: で、そんなイトムシさんが、一生に一度だけ

緑川: 羽をつけて、華やかに飛んで

緑川: さいごは、アオムシのまま死ぬと

小野寺: ただ26日にも合評会がありますから夜は使えないですね

緑川: 泣ける話でした。なんか個人的に好きでしたね

カヅヤ: !ありがとうございます。

緑川: ストーリーが一直線で、少し物足りない面もありましたけど

カヅヤ: お恥ずかしながら、幼形成熟と言う単語を今初めて知りました…。ネオテニー…。

緑川: 先ほども言われてましたけど、挿絵付きで読みたい話です

緑川: ですです

緑川: 萩尾望都「11人いる!」ご存じですか?

カヅヤ: タイトルだけで、まだ読んではいないです。

小山内 : (幼形成熟とか異形再生とかモチーフとしては面白いですね)

緑川: あの作品にも

緑川: 性成熟を向かえないまま大人になって生きていく惑星の人が出てきて

緑川: そちらは、種族の中で賢者的な役割を担うのですが

緑川: カズヤさんのようなバリエーションも良いですね

緑川: 虫だからというのもあると思いますが、少々無機的な

緑川: 淡々とした中に、哀感がありました

緑川: ちょっと、後出しじゃんけんのようで恐縮ですが

緑川: 以上です

小野寺: ではここまでにしますか。