特集『二・一四　恋愛事変』

”恋愛”を殺さないためにッ！

ストレンヂデイズ：うさぎ

幸せは長く続くと、そう思っていた。大きな大きな存在である彼女を探すと、出会う不思議と驚異。一体彼女はどこに行ってしまったのだろう。……いや、彼女は一体、何者なのだ！？ うさぎ氏の描く摩訶不思議、でもまっすぐな愛の物語。

行くな！　ガーゴン：常磐誠 恋は盲目というのならば、盲目の少年の恋とは如何なるものか。見えずともわかる、悪役を演じては いるが決して性根は悪くない、とぼけた顔をした愛くるしい爬虫類――百合神悠は怒りを向ける、愛しいガーゴンをコケにし続ける全ての者どもに。

雷の内部：る

黒い鉄の棒が下りてきて彼女の口へと突き刺さろうとしていた――フェラチオにも似た光景は眩しすぎて、性交できない悲しみを自分で慰めるようにエロ動画を漁り続けた。美しい物への憧れと羞恥を下品さの混じった文体で表現する、極めてキュートな技巧小説。

其のＸ。真央。初恋地獄篇：小野寺那仁

かつての初恋を引きずったままの真央は、長い間離れていた故郷へと帰る。丁度その日には、山姥伝説を残す神社で手筒花火の大会が開かれるところであった。大勢の観客が盛り上がりを見せる祭りであったが、事態は思わぬ方向へと……

横を向いたまま：日居月諸

突然届いた大伯母の訃報。親族たちは飽きることなく、昔話を繰り返す。紡がれる物語に大姪の紗江は……。世代を超えて描かれる女たちの姿から、むせかえるような情愛のにおいが、立ちのぼっている。