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詩3篇:る

「やがてかなしき病かな」

 

生きることは苦痛ですらなく

秒針のひとつひとつの歩みを数えることで

風はほとんど意味もなく透きとおってしまうのですよ

 

このアスファルトに雪が積もるためには

地熱で溶けてしまう雪よりも

新たに積もりゆく雪が多くなければならない

誰かがもう名づけたのかしら

雪が積もりだすそのとき

その瞬間の雪の深さを

 

肺の中に一秒一秒を感じるのです

その一粒一粒を吐き出すたびに

生気を失った時間が肺の中で

きっと赤紫色をした病の水に

だんだんと浸されていく

 

だからそのひとつひとつが

ただ無抵抗に溶けていかないで

仮に意味として降り積もることができるのなら

その最小単位の生を

紙一重の深さでいいから

あなたに残ることができるのなら

 

夕べ

時計の止まる音を聞いた

壊れた、とか

落とした、とかじゃないから

誰も信じてくれないかもしれないけれど

確かに聞こえた

 

 

 

「意味の無い四角」

 

コンクリートしたい

意味のない四角と

ただ側面をすり合わせるだけの

それくらいの軽さで

断線したい

意味の無い四角と

ただ側面を競いあう程度の

穴だらけの愛を片手に掴んで

溶けていく

右手から順番に

溶けた右手から順番に

オリオン座に到着していく

少し待っていてください

断線したい

転がる

コンクリートしたい

 

意味の無い四角と

側面を連ねあい

等間隔の

祈りになりたい

 

春はまもなく到着予定

だからそのまま断線したい

意味の無い四角と

 

そのまま

 

 

そのまま

 

 

 

「別れ」

 

もうどうしようもないような

三角と四角がいた

季節よりも花よりも

アイスクリームを愛していた

 

ふいに二人は夕暮れに出会ってしまった

取り返しのつかない金色に

どうしようもなく染まりながら

互いの涙をぬぐってやることができなかった

 

そんなありふれた二人の話

カーテンのレースが風にそよぐ音よりも

小さな声で君に話したかった

話してあげることができなかった

 

三角はもうダメだった

人間が取り決めた社会的なあれこれに

もう返事をすることができなかった

分かるだろうか

 

四角は別れを告げた

まるで世界で一番

さよならが得意なやつみたいに

クールに告げることにした

 

もうどうしようもないような

三角と四角がいた

一緒にいればたちまち癒えてしまうような

痛みを頑なに守り続けている