twitter文芸部のつぶやき

フォロワー募集中!

オフィシャルアカウント

部員のつぶやきはこちら

現在の閲覧者数:

部員感想(4月号)@twitter

 以下は「月刊twitter文芸部」4月号によせられた、部員の感想である。いずれもtwitter上のつぶやきで、#twibun がつけられていたが、今回は編集の都合上割愛した。また読みやすさを重視し、書式の統一をはかるため、いくつかの語句を削除、変更したが、ご了承願いたい。

 

 

小山内豊

1.大羽左膳「四年」:ばらばらだけど素直、なのか。素直というのはこれからということ。詩を評価する視座がないので明治書院の研究資料を読み返してしまった。


2.常磐誠「情報人形の唄」:この2日の取り組み(詩の勉強)とのギャップの大きいことよ。ドット絵的なピコピコ感がある。ゲームのキャラが死んじゃったけど、そんなの悲しいからもっと続けよう、という内容か。ゲームメーカーの提案した世界を消費している印象。

Franz Hilbert

1.大羽左膳「四年」①:まず最初に思ったのが、「これは朗読する時に、どうやって読めばいいんだ……!?」という疑問だった。改行の意味がよくわからなかった。これが「崩す」ってことなのかな?とは思うけど俺には理解できませんでした(俺がアホなだけかもしれませんがw)


2.「四年」②:たぶん、俺が読み込めてないだけなんだろうな、とは思う。イメージを断絶させるような言葉の配置が特徴的だと思う。その一つ一つの単語がイメージを広げていく作品。「増えた」×3「癌」は増えた感じがしていいと思うけど、その後の「硬直」のつながりが悪くないだろうか?


3.「四年」③:「癌」という言葉と「細胞」という言葉から、勝手に「癌細胞」と読んでしまうからいかんのか? 癌細胞ではなく、健全な細胞が硬直するなら意味は通るか。(癌細胞は「硬直」というより「暴発」?なイメージをもっとりますよ、儂は。)


4.「四年」④:ん、待てよ、ウニ? 発生?(生物の授業を思い出した) 硬直→「生まれません」のイメージか。 と、まぁ、正しいかどうかは置いておいて、なんとも広がりのある作品だと思いました。「銀河」まで出てくるし、もしかして宇宙レベルにイメージが広がる作品なのか!?


5.「四年」⑤:部員の皆さんは、すごいきちんと読めてる感じがして、俺なんか迷走してるだけだし、いっそ黙っといたほうがいいかと思ったんだが敢えて迷走経路を晒しておきましたw こういうわけのわからんテンションでぼっつらぼっつら語りたいと思います。なんかすいません。

イコぴょん

1.常磐誠「情報人形の唄」:ふだん小説に挑戦している常磐さんが詩を書いてきた、というので期待をもって読んだ。男、女、僕という三者の関係が、読むにつれて分かっていく。これはアレの話かと。


2.「情報人形の唄」②:「青龍刀」「レイピア」などという武器が出てきて、鼻白む思いで読むのだが、この滑稽な口調が後に裏返って、皮肉として効いてくる作品なのである。思えば常磐さんの作品は大抵そうだ。中二病的なアイテムの奥に現実への目線がある。


3.「情報人形の唄」③:ただし、「情報人形」という比喩は、あまりにも手垢のついた、つまらない比喩なんじゃないか。読む者をハッとさせる言葉が一つでもあるだろうか。作者のやりたいことは買うのだが、作者は「表現」にもっと意識的になってほしい。

 

4. 「情報人形の唄」④:たとえば「釦」という言葉が出るが、この場合は、漢字を開かないと、本来の意味が伝わらないんじゃないか。「釦を叩きつけながら」という書き方にも、面白味はない。短い作品だからこそ一文字のつまらなさがマズイのだ。常磐さんにしか書けない言葉がほしい。

 

5.大羽左膳「通常運転」①:大羽さんの短歌はいつもぼやく。考えてることはかなり暗い。「死ぬ」とか「殺したい」とか「頭が悪い」とか、他の短歌もそういう言葉ばかりだ。けど作者の年齢を考えると、納得いく。

 

6.「通常運転」②:思えばそういう年齢の頃は、自意識に満ちていて、すぐ思考がマイナスに転がっていった。足元がゆれてゆれてしょうがなかった。そういう状態に対して、的確に言葉を返すのが大羽さんだ。「若いなあ」と思うけど、作者の背景とひっくるめて読むと、成立する。

 

7.「通常運転」③:大羽さんの短歌のおもろいところは、ぼやきから0.5歩はみ出るところだ。この短歌集のなかでは、「ゆすらうめ」が0.5歩に該当する。ただぼやいて愚痴って終わるのではなくて、唐突にざらっとした手触りの名詞を挟む。

 

8. 「通常運転」④:名詞が挟まれることによって、短歌がぺたっと着地するのだ。きちんと相対化された「人間」が存在するようになる。ただ、「通常運転」という短歌集には、0.5歩のはみ出しが、少なくないか? ただぼやいて終わっているのもあり、それはまったく評価できない。

 

9.緑川「僕と職場仲間の話」①:笑った笑った。この作者の作品、こういうテイストで統一された本があるなら、金出しても買うわ。緑川さんは、こんなユーモアセンスをもってる人だったんやな。

 

10.「僕と職場仲間の話」②:労働に対して「搾取」がどうの「社畜」がどうのという鬱屈した考え方がはびこってる現代日本に、ユーモアの風をさりげなく吹かせるこの作品は、なんとも愉快だ。諦めでも達観でもなくて、考え方が「大人」なのだ。大人の小説を読んだ。

 

11.「僕と職場仲間の話」③:仏壇屋小売店の日常が、日常の範囲からわずかずつ逸脱していて、それもあり得ないことなのかあり得ることなのか判断しかねる微妙なラインを保っているので、とにかくあざとさを感じず、最後まで読まされた。

 

12.「僕と職場仲間の話」④:一人ひとりの人間が、頭に浮かぶようだ。最後には、作者がきちんと人間をこね上げて書いていることが容易に想像できるシーンが盛りこまれているのだが、ともすれば説得力がなくなりかねない一幕を、ああ、そうだな、と感じながら読めるというのは、さすがだ。

 

13.安部孝作「或る日曜日の快楽」①:他愛ない日曜日の話に違和感が挟まり、カーブを描いて現実から逸脱していく。神話や民間伝承に明るくないのだが、挟まれるいくつもの挿話の奥に、別の物語が開ける可能性を感じ、ボルヘスやカルペンティエルに近く思われた。

 

14.「或る日曜日の快楽」②:肝心の文章だが、もっと推敲すべきではないか。海底で流砂に呑まれる場面、龍の怒り、焼かれそうになるくだりなど、起きていることが想像しづらく、読みながら遠ざけられる思いがあった。冗談なのかそうでないのか判断しづらいのも難点に思われた。

 

15.「或る日曜日の快楽」③:しかし神話などを読んでいても、相当に情景の想像しづらい、芯を外れたような文章で描かれていることがあるから、案外、形式と内容はマッチしているのかもしれない。なかなかしたたかな作者なのかもね。18枚という短さだからこそ読者がついていける佳品。

 

16.「或る日曜日の快楽」④:このタイトルは、一考の余地がある。なんか元ネタがあるんだろうか。このタイトルと、冒頭を見て、読む気を起こす人は少ないんじゃないだろうか。

神崎裕子

1.緑川「僕と職場仲間の話」①:読みました。今回の話はどうもノンフィクションぽいように思える。題名通り職場仲間とのやり取りを淡々と書いている。普通ならば大した起伏も無く過ぎていく日常を書いているが、面白い。それは窃視症めいたものもあるのだろうか。

 

2.「僕と職場仲間の話」②:窃視症めいたものというのは他人の日常を覗くと発見がある。というものだ。そうやって何も大した事件も起きずに始まっていくのだが徐々にちょっとした事件が起き始める。それにより読者を惹きつける。

 

3.「僕と職場仲間の話」③:事件の内容が非現実的になりながらも、もしかしたら有りえるかもしれないそんな内容に変わっていき、疑心を持ちながら、作者に近づける。そして最後は日常的に収束する。

 

4.「僕と職場仲間の話」④:そういえば、仏壇店に神棚が置いてあるのは、多くの寺に神社または社があるのと同じ理由なのだろうか。

 

5.大羽左膳「四年」①:好きか嫌いかの二元論で言えば、嫌いになる。というのは漫画からの引用であるが、あまり強い言葉を使うなよ、弱く見えるぞ。との言に尽きる。しかし、比良八荒のような単語がそれに鍍金のような効果を及ぼしているように思える。感覚に訴えかけてこなかった。

 

6.「四年」②:音韻などの詳しいことはわからないし、これは韻は踏んでいないが、読んでいて詰まるところがいくつかあった。退部した部員ではあるが、るさんの鳥島はそのようなことがなかった。改行の使い方の意図を他の人はどうとらえたか知りたい。

 

7.常磐誠「情報人間の唄」:好き嫌いの二元論では語れない。何かの皮肉にも思えるし、なんだろうこれは。思った部分は、ところどころ文脈が断絶する。それは後のことばによってうめられはするが完璧ではない。音読しても詰まることはない。これを語る言葉は持ち合わせていない。

常磐誠

1.大羽左膳「四年」①:この方の作品は、常に青い感覚を植え付けてくる。かなり乱雑にぶつける。別に読みたくなきゃ読まなきゃ良いじゃん。現代っ子っぽい。 それでも、読んでいくと、必ず何かしらのメッセージ性を常々感じさせてくれるから、やっぱりこの方ただものじゃねぇ! と思う。


2.「四年」②:常磐は勝手に詩に物語をつけて読む。 大正生まれのおじいさん。ひいおじいさん? 老いからくるものは避けようがない。彼との交流、触れ合いを反芻しては、吐露して、思い出しては、吐露して。 最期の言葉、聞き取れなくて、四年。

 

3.「四年」③:常磐との馴れ合いを防ぎたいのか、というか、たぶん常磐のノリとかが嫌いor苦手なのだろうからこの方は常磐をフォローしないのだろうけども、でも実際作品やスタイルを見たりしていると、この方は常磐と同じものを飼ってるな、と。優しいのだろうな。と思う。

 

4.「四年」④:一方、改行のあり方は大事な(もしくは愛しい)記憶の反芻と吐露を常磐に思わせるも、そのイメージが確実に伝わっているとは思いづらい。更に文法規則から自由になりすぎているように思う。よもや"、"が頭にあるとは……。

 

5.「四年」⑤:この奔放さは左膳さんの力なのでしょう。もっとコントロールできるようになったらもっと切ない、もしくはもっと美しい世界だって表現できるようになるかもしれない。 でも、それはきっともうちょっと先のお話だと思いました。 常磐は好きでした。

 

6.大羽左膳「通常運転」①:こちらはより左膳さんの素、というか普段の創作感に近づいた作品なのでは、と読んだ。 イコぴょんさんは0.5歩、と謳われていたが、自分は僅かな衝撃、と名付けている。そう。ゆすらうめ。

 

7.「通常運転」②:実を言うと、常磐もこういう言葉を、ずぅっと頭の片隅でぼやき続けていた時期があった。……まぁ、紙に残してすらいないし、その日の昼には忘れるような、所詮そんな言葉の集まりでしかないから、左膳さんの言葉とは、比べるまでもない。

 

8.「通常運転」③:だからこそ、ここでこういう形で残し、発信し、見せつける左膳という存在は素敵な存在で、素晴らしいことなのだと常磐は思い、いつも作品を見ている。 こういう、書き残して、読んじゃった人にだけ確実に突き刺さるものがあるのは、実に愛しいから。

 

9.「通常運転」④:ただ、何というか、自己の心理状態がモロに作品に投影されている部分が強く感じられると、好き嫌いは大いに分かれるんだろうなぁ、と思う。 たぶん先程書いた通り、嫌いならそれで良いよって、思うかもだけど。 もっと気を楽にした世界があっても、良いかな?

 

10.緑川「僕と職場仲間の話」①:福岡オフでお世話になり、その時にある程度お話を聞かせていただいたので、初見時には、『これ現実?』とまで思ってしまった。やっぱり落ち着いた作品って、良いなぁと呑気に思っていた。

 

11.「僕と職場仲間の話」②:とにかく凄まじかった。最初はあまりの枚数に、うへぇ……と思った(本当にごめんなさい食わず嫌いしてました……)けれど、驚くことに案外すんなり読みきってしまえるのだから、流石だと思った。

 

12.「僕と職場仲間の話」③:また、作品の形がお借りしたイッツ・オンリー・トークにも似た形だったので、これは常磐に手本を見せてくださっているのだと(勝手に)思い込み(実に勝手に)感動したりもした。 ……まぁ真似するにしてもまだまだインプット足りてませんけども。

 

13.「僕と職場仲間の話」④:読んでいて大爆笑し、そして今でも思い出すだけで笑ってしまう。一度外で不意に思い出して怪しい人になりました。父を見舞いに行った病院でした。おめでとうありがとう。 現実からの僅かながらの逸脱。気を抜いていると読み落としてしまいそうなくらいの差異。

 

14.「僕と職場仲間の話」⑤:非常に素敵でした。 が、一度「全力」とか、それに類する言葉を拝見しましたが、それにしては最初の「納品日和」から「なにょり」などのやらかし。更には"―"を二つ一組で使わない、などの文法規則ミスが痛かったです。

 

15.安部孝作「或る日曜日の快楽」①:新入部員さんの作品を早くも読める、というのがまずありがたいお話でした。冒頭から中々冷たいというか、シュールな世界がお目見えしていて面白いと感じた。こういう世界を書きたいと思い書いた作品もあったけど、やっぱりこうはならないから、素敵。

 

16.「或る日曜日の快楽」②:コロ―モルが登場した辺りから、本当に意味わからんシュールさが来た! みたいになって読む気が増していった。 のだけど、話がころころころりと滑っていくし、展開していくばかりで掴み所がないように思えてしまい、おいてけぼり食らったようだった。

 

17.「或る日曜日の快楽」③:全体的に腑に落ちないでモヤっとくるお話でした。嫌いではない。好き。けど、真似したいとは思わない。それが常磐の変化によるものか、それともこの作品自体に真似しようと思わせない何か(ポジティブかネガティブかは常磐にも不明)があるのか。

 

18.「或る日曜日の快楽」④:というか、両方あると思う。もっと他の作品も読んで判断していきたいと思いました。

あんな

1.大羽左膳「四年」①:題名と冒頭からすでに何かしらの物語が始まっており、しかも人によっていく通りにも想像が広がっていくような読者に考える自由を与えてくれるような幅のある詩だと思った。

 

2.「四年」②:なのであえて作者の意図とか考えずに自由に読んでみる。携帯で読んでいるとスクロールするたびに改行のタイミングが秀逸なことに気づく。浮かんでくるイメージは言葉にできないけれど改行がかちんと思考をキャッチしてくれるので頭の中で像が浮かびやすい。

 

3.「四年」③:そして最後はすとんと元に戻ってくる感じ。今まで左膳さんの詩は数作読んだけれど1番物語性があってその分衝動がうまくコントロールされている印象。はい、好きですこの詩。ぶっちゃけ左膳さんの作品は衝動が前に出すぎてて苦手なイメージだったけどこれは面白かった。

 

4.常磐誠「情報人形の唄」①:前半は常磐さんの小説を濃縮還元して垂らしたみたいな感じだけど繰り返しの言葉が出てくるうち詩の文に近づいていく感じ。最後はなんか響きが良くて声に出して歌っちゃった(いたって真面目です)

 

5.「情報人形の唄」②:常磐さんが詩に挑戦されて思ったのは、常磐さんの作品で時折出てくる鋭いイメージが小説よりもより際立ち、光っていること。その反面、ところどころ濃度の低い表現が目立ってしまうこと。あらためて詩は難しいと実感する。

 

6.「情報人形の唄」③:機械人形、情報人形という言葉自体がイメージを減退させてしまっている可能性もあると感じた。最後のたたみかける章の前に一度つまづくような感じだった。全体的には常磐さんの詩への挑戦をもっと見てみたいと思わせるような作品でした。

 

(文責:イコ)