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枯木:Pさん

 青空に枯れ枝が揺れる。気温が上昇傾向にあるから、その先は重さを持っているように見えた。枯れ枝は当然ながら幹から分岐していて、形は一瞬の爆発のようなのにそこにあるのは静止だった。その幹からして、一番太い枝をしめ縄のように寄り合わせたトルネードにしか見えない。木は根と枝しかなかった。十メートル近くある高さの間に何階層もの錯雑とした構造があり、そもそも人間は偉そうに言ってるがここから、分類とか構造化とかいったものを習っていたのだ。笑わせる。枝は笑わずに揺れていた。風はほとんど吹いていなくても十メートルという長さが揺れを増幅させる。垂直から平行に視線を移すと丘の上に自転車と寝転がっている男があった。自分も丘の上にいた。ここには松が生えているが松の枯葉はここではなく丘の斜面に吹き溜まっていた。垂直の時から平行の時までに場所も移動しているので最初に見ていたのは桜だ。松は節くれ立ってはいてもトルネードにはなっておらず藁が巻かれている。松の枯葉は水気が抜けると相当赤みの強い茶色になり、それを背景にすると葉の緑が青に見える。人は相対的色彩感覚しか持っておらず、色相環なんてものの役に立たない。男から三十メートルくらい離れて女がいた。ちょうど芝生に広げていたシートを畳んで歩き出すところだった。三十メートルは離れているがこの丘の上に他に人がいないことを考えると近い。だが二人は他人のようだった。シートは一人分のスペースしかない。女は斜面を降り始めた。反対側の斜面の麓には昨日の雨のぬかるみがあった。すぐ横を通ると、足下をグニャグニャゆがめる心地がした。

 遠くまで眺めると常緑樹は緑だった。人が血を通わせるように樹木がわずかといえども水を通わせているとは、とてもこの時期の樹木の表面を見る限りは思えない。だが確実にそうしていて、人間とは違うスパンでうごめいている。人間のスパンであるおばさんの集団が三、四人その下を通る。一人のおばさんが他のおばさんに何か説明をしている。百メートル近く離れているけれどもその上に見える枯れ枝はごくわずかに揺れている。それは動きとしてはわからないけれども、ここからではケバとしてしか見えない枝と枝の干渉縞がチラチラするのでそれとわかる。

(公園叙景)


#何か雑記的な他の分類作ったら何如んですかね?

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コメント: 1
  • #1

    シロクマ (木曜日, 10 7月 2014 11:21)

    青空と枯れ枝の対比に意表を突かれた。気温が上がっているから、枝先に重さを感じるのか。そう感じるものなのだろうかと、おもしろかった。
    松の枯れ木と桜の枯れ木。日常、枯れ木は枯れ木であって、あまり違いを意識しない。花が咲けば、意識する。
    枯れ木の違いばかりを説明されても辛い。場面が移っていく。ただそうなると、最終的に全体のテーマは、枯れ木を包む別の概念のようだ。